今週末に見たい展覧会ベスト11。「翻訳できない わたしの言葉」からCLAMP展、髙田賢三の大規模回顧展まで
もうすぐ閉幕 「ブランクーシ 本質を象る」(アーティゾン美術館) 20世紀彫刻の先駆者と評される彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ (1876~1957)。その創作活動の全体を紹介する日本初の展覧会「ブランクーシ 本質を象る(かたどる)」が、東京・京橋のアーティゾン美術館 で7月7日まで開催中だ。担当学芸員は島本英明。共同キュレーターはジェローム・ヌートル。レポートはこちら。 ブランクーシはルーマニア・ホビツァ生まれ。ブカレスト国立美術学校に学んだ後、1904年にパリに出て、ロダンのアトリエで助手となった。しかし短期間で離れ、独自に創作に取り組み始める。その特徴は、アフリカ彫刻など非西欧圏の芸術に通じる野性的な造形と洗練されたフォルムであり、同時代および後続世代の芸術家に多大な影響を及ぼしている。 本展は、日本の美術館で初めて行われる包括的なブランクーシ展。会場には初期から後半期まで23点の彫刻作品を中核に、89点の作品が並ぶ。 会期:2024年3月30日~7月7日 会場:アーティゾン美術館 6階展示室 住所:東京都中央区京橋1-7-2 開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:ウェブ予約 1800円 / 窓口販売 2000円 / 学生無料(要ウェブ予約)、中学生以下予約不要 ※日時指定予約制(2024年1月30日よりウェブ予約開始)。予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを購入可能 ※この料金で同時開催の展覧会をすべて鑑賞可 同時開催:石橋財団コレクション選 特集コーナー展示|清水多嘉示(5・4階 展示室) 「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」(京都市京セラ美術館) 20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって生み出されたキュビスム。この芸術運動に焦点を当てた展覧会「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が、京都市京セラ美術館で7月7日に閉幕する。東京展のレポートはこちら 。 本展は、世界屈指の近現代美術のコレクションを誇るパリ・ポンピドゥーセンターよりキュビスムの歴史を語るうえで外せない名作が多数来日。そのうち50点以上が日本初出品となる。主要作家約40人による絵画をはじめ、彫刻、素描、版画、映像、資料など約130点が展示される。 会期:2024年3月20日~7月7日 会場:京都市京セラ美術館 住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 電話番号:075-771-4334 開館時間:10:00~18:00 ※入室は閉室の30分前まで 休館日:月 料金:一般 2100円 / 高校・⼤学生 1400円 / 小中学生 900円 「ホー・ツーニェン エージェントのA」(東京都現代美術館) 東京都現代美術館で、シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展「ホー・ツーニェン エージェントのA」が7月7日まで開催されている。担当キュレーターは同館学芸員の崔敬華。レポートはこちら。 本展はホーのこれまでの歴史的探求の軌跡をたどるべく、最初期の作品から国内初公開となる最新作までを展示するものだ。今回の展覧会は、ホーが一貫して興味の対象としてきた「時間」についての思索が全面に現れている。それは会場内に42点の映像を散らばらせて展示している作品群「時間(タイム)のT:タイムピース」からもうかがえるだろう。 会期:2024年4月6日~7月7日 会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2階 住所:東京都江東区三好4-1-1 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:料金:一般 1500円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1100円 / 中学・高校生 600円 / 小学生以下無料 「翻訳できない わたしの言葉」(東京都現代美術館) 「翻訳できない わたしの言葉」展も東京都現代美術館で7月7日まで開催中だ。 世界には様々な言語があり、ひとつの言語のなかにも、方言や世代・経験による語彙・文法の違いなど、無数の豊かなバリエーションがある。話す相手や場に応じて、仲間同士や家族だけで通じる言葉を使ったり、他言語を使ったりと、複数の言葉を使い分ける人もいる。言葉にしなくても伝わる思いもある。それらはすべて、個人のなかにこれまで蓄積されてきた経験の総体から生まれる「わたしの言葉」である。他言語を学ぶことでその言語を生み出した人々の文化や歴史に触れるように、誰かのことを知ることは、その人の「わたしの言葉」を、別の言葉に置き換えることなくそのまま受け取ろうとすることから始まるのかもしれない。 本展では、ユニ・ホン・シャープ、マユンキキ、南雲麻衣、新井英夫、金仁淑の5人のアーティストの作品を紹介。彼らの作品は、みんなが同じ言語を話しているようにみえる社会に、異なる言語があることや、同じ言語のなかにある違いに、解像度を上げ目を凝らそうとするものである。 本展に際し実施したマユンキキのロングインタビューはこちらからチェックしてほしい。 会期:2024年4月18日~7月7日 会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F 住所:東京都江東区三好4-1-1 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 休館日:月 料金:一般 1400円 / 大学生・専門学校生、65歳以上 1000円 / 中学・高校生 600円 / 小学生以下 無料 「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」(府中市美術館) 大正から昭和にかけて、独自の鳥瞰図で数多くの名所図絵を描いた吉田初三郎。府中市美術館で開催中の展覧会「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」も7月7日までとなっている。担当学芸員は大澤真理子(府中市美術館学芸員)。レポートはこちら。 本展では、鳥瞰図絵師として博物館などで扱われることが多かったという吉田を、商業美術(グラフィックデザイン)の視点から紹介することを試みている。全3章立てとなる会場では、作品を通じて吉田の生涯をたどりながら、絵づくりの工夫や印刷の工程についても紐解いていくものとなっている。 会期:2024年5月18日~7月7日 会場:府中市美術館 2階企画展示室 住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内) 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで 休館日:月 料金:一般 800円 / 高校生・大学生 400円 / 小・中学生 200円 / 未就学児 無料 GROUP「島をつくる | Planning Another Island」(マイナビアートスクエア) 東京・銀座のマイナビアートスクエアで開催中の建築コレクティヴ・GROUPによる展覧会「島をつくる | Planning Another Island」が7月6日まで開催中。レポートはこちら。 GROUPは建築プロジェクトを通して、異なる専門性をもつメンバーが仮設的かつ継続的に活動を行う建築コレクティヴ。建築設計・リサーチ・施工などで幅広く活動している。 本展は、東京・成増にある住宅を解体し、その廃材を土へと還す「コンポスト」をテーマにしたものだ。メンバーが廃材を解体するという行為そのものが展示の構成物となっている。 会期:2024年5月23日~7月6日 会場:マイナビアートスクエア 住所:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー 22F 開館時間:11:00~18:00 休館日:日、月、祝日 料金:無料 今週開幕 「五感で味わう日本の美術」(三井記念美術館) 古美術に馴染みのない人々にもその魅力を伝えようとする展覧会「五感で味わう日本の美術」が、東京・日本橋の三井記念美術館 で開幕した。会期は9月1日まで。レポートはこちら。 本展覧会は6部構成で、それぞれ「味覚」「嗅覚」「触覚」といった感覚に根ざした平易なテーマを設定。キャプションについても平易なテキストが心がけられており、夏休みシーズンの展覧会らしく、多くの人に古美術の門戸を開く姿勢が垣間見える。 会期:2024年7月2日~9月1日 会場:三井記念美術館 住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館 7階 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日 料金:一般 1200円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下 無料 「CLAMP展」(国立新美術館) 国内外で絶大な人気を誇る女性4人の創作集団・CLAMP(いがらし寒月、大川七瀬、猫井、もこな)。その原画展が東京・六本木の国立新美術館 でスタートした。会期は9月23日まで。音声ガイド・ナビゲーターは、CLAMP作品とも縁の深い福山潤が担当する。レポートはこちら。 本展は、CLAMPの活動35周年を記念し、少年マンガ、少女マンガ、青年マンガと幅広いジャンルにおいて多様な作品を世に送り出してきたその活動の軌跡をたどるものだ。会場は「C」「L」「A」「M」「P」といった頭文字をベースに、「COLOR」「LOVE」「ADVENTURE」「MAGIC」「PHRASE」「IMAGINATION」「DREAM」の7テーマから構成。1989年のデビュー作から最新作までの23作品を網羅したカラーイラストのほか、マンガ本編の原稿が約800点というボリュームで一堂に会する、史上最大の原画展となっている。 会期:2024年7月3日~9月23日(開幕記念特別観覧日は7月3日~5日) 会場:国立新美術館 企画展示室2E 住所:東京都港区六本木7-22-2 電話番号:050-5541-8600 開館時間:10:00~18:00 (金土~20:00)※入場は閉館の30分前まで 休館日:火 料金:一般 2100円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 「島袋道浩 音楽が聞こえてきた」(BankArt Station) 90年代初頭より国内外の多くの場所を旅し、そこに生きる人々の生活や文化をみつめ、新しいコミュニケーションやアートのあり方に関する作品を制作してきた島袋道浩 。その個展「島袋道浩 音楽が聞こえてきた」展が、横浜のBankArt Stationで開幕した。会期は9月23日まで。レポートはこちら。 島袋はこれまで、作曲家の野村誠や小杉武久、ミュージシャンのカシン、モレノ・ヴェローゾ、アート・リンゼイ、ブラジルの吟遊詩人のへペンチスタなど、様々な音楽関係者たちとコラボレーションを行ってきた。関東圏では15年ぶりの個展となる本展は、そうした人々とのコラボレーション作品にフォーカスしたものとなっている。 会期:2024年7月4日~9月23日 会場:BankART Station 住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1 新高島駅B1F 電話番号:045-663-2812 開館時間:11:00~19:00(7月4日~7月6日のみ~22:00) 休館日:月(ただし、7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は祝日のためオープンし、翌日火曜日が休み) 料金:一般 1000円 / 大学生・高校生 500円 / 中学生以下、及び障がい者手帳をお持ちの方と付き添い1名 無料 「Tokyo Gendai 2024」(パシフィコ横浜) 昨年、初開催されたアートフェア「Tokyo Gendai」が今年もパシフィコ横浜で開催される。一般会期は7月5日~7日。レポートはこちら。 昨年、初めての開催で約2万1千人もの来場者を記録した同フェア 。今年は世界18ヶ国から70軒のギャラリーが集結し、そのうち27軒が初出展となる。また、プリンシパルパートナーには昨年に続き、株式会社三井住友フィナンシャルグループが就任する。 今年は、Galerie EIGEN + ART(ライプツィヒ、ベルリン)、Gallery EXIT(香港)、Kwai Fung Hin Art(香港)が初出展となるほか、Almine Rech(パリ、ブリュッセル、ロンドン、ニューヨーク、上海、モナコ)、BLUM(ロサンゼルス、ニューヨーク、東京)、Perrotin(東京、パリ、香港、ニューヨーク、ソウル、上海、ロサンゼルス)、Sadie Coles HQ(ロンドン)、Taka Ishii Gallery(東京、京都、前橋)、SCAI THE BATHHOUSE(東京)などのギャラリーが再び出展する。共同創設者マグナス・レンフリューのインタビューはこちら。 会期:2023年7月4日~7日 ※7月4日はVIPプレビュー 会場:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜) 住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 「髙田賢三 Takada Kenzo」(東京オペラシティ アートギャラリー) 2020年に惜しまれつつ逝去したKENZOの創設者・髙田賢三(1939~2020)。その没後初となる大規模個展「髙田賢三 Takada Kenzo」が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。会期は7月6日~9月16日。 本展は「色彩の魔術師」と呼ばれた髙田の変遷を衣装展示やデザイン画でたどるとともに、幼少期からのスケッチやアイデアの源泉となった資料、彼を支えた人々との交流を示す写真なども紹介。日本人デザイナーのパイオニアとしての創作活動を回顧するとともに、未曾有の困難な時代を生き抜こうとする人類の未来に向けて髙田が遺した「レガシーの本質」を発見することを目指すという。 会期:2024年7月6日~9月16日 会場:東京オペラシティ アートギャラリー 住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 電話番号:050-5541-8600 開館時間:11:00~19:00 ※入館は閉館の30分前まで 休館日:月(祝日の場合は翌火)、8月4日 料金:一般 1600円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下 無料