年収400万の55歳です。貯金が「500万円」しかありません。65歳から「年金のみ」で生活を送りたいのですが、どれだけ貯金が必要でしょうか?
定年が目前になってみると、「老後資金は足りるのか?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。 本記事では、年収400万円の会社員を例に、65歳から年金はいくらもらえるのか、年金のみで生活は可能なのかを検証します。あわせて、老後資金対策としてやるべきことを解説しています。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
生涯年収400万円でもらえる年金額は?
まずは、受給できるおおよその年金額を確認しましょう。23歳で入社し、60歳の定年まで平均年収が400万円だったとして、65歳から受給できる年金額はいくらになるのか計算します。 【受給額計算の前提条件】 ●厚生労働省の公的年金シミュレーターを使用し計算 ●1969年5月1日生まれ ●年収400万円 ●20歳から22歳まで学生として国民年金に加入(納付済み) ●23歳から60歳まで会社員として勤務、厚生年金に加入 計算の結果、65歳から受給できる年金額は年間約160万円になります。月額にして13万3000円ほどで、現役時代の約半分といったところです。詳しく知りたい方は、お手元に「ねんきん定期便」を用意して入力を行うと、現時点での受給予定額が分かります。 (※公的年金シミュレーターは、年金受給額を簡易に試算する観点から、年単位での計算になっています。実際の受給金額は、勤務先の規定する定年退職日により変動するため、必ずしも一致しません)
年金のみで生活するのは現実的?
次に、実際に年金のみで老後を過ごしていけるのかを解説します。年収400万円の会社員の手取り月収は、約25~26万円(ボーナスなしの場合)になるため、会社員時代よりも月額にして約12万円少ない金額になります。 「どれだけ貯金が必要なのか?」ですが、総務省の家計調査によると65歳以上の無職世帯の1ヶ月の消費支出は、単身世帯で14万5430円、夫婦のみで25万0959円でした。 単身世帯だとすると、1ヶ月あたりで約1万2430円足りていません。相談者が55歳男性の場合、厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、平均余命は27.97年です。この時点ですでに、約417万円不足しています。予定外の出費があれば、さらに不足額は大きくなります。 以上のことから、現在の貯金500万円と受給予定の年金額だけで生活するのは現実的ではないでしょう。そのために、これからできることは次の3つになります。 1.預貯金を増やす 2.資産運用で増やす 3.年金受取額を増やす 55歳から65歳までの10年間で、貯蓄をできるだけ増やしておきましょう。節約できるところはないのか収支を確認して、生活を少し切り詰めても貯蓄のペースを上げる必要があります。 次に資産運用ですが、年齢が高くなると資産を積極的に増やすよりも、資産を減らさないことが肝心です。500万円の貯金のうち、いざというときのための生活資金1年分にあたる300万円は、必ず手元に残す必要があります。投資をするならば、NISAやiDeCoなどで無理のない少額から始めてみてください。 3番目の年金受取額を増やすためには、可能なかぎり長く働くことが大切です。もし、勤務している会社が再雇用ではなく65歳まで定年を延長して、同じ雇用条件で65歳まで働けるとしたら年金受給額は次のようにアップします。 【受給額計算の前提条件は上記と同じ、厚生労働省の公的年金シミュレーターを使用し試算】 ●65歳まで定年を延長し厚生年金に加入、勤務しながら年金受給開始も65歳から→65歳は167万円(在職老齢年金として受給)、66歳からは180万円(月額15万円) (※この例では、賃金と年金額の合計額が月額50万円を超えないため、年金支給額の停止部分はなし。50万円を超えてしまう場合は、超えた金額部分の半分が支給停止されます) ●65歳まで定年を延長し厚生年金に加入、年金受給開始を66歳に繰下げ→195万円(月額16万2500円) 年金に貯蓄分を合わせると、生活していく分は捻出できるのではないでしょうか。退職金があれば、さらに余裕資金が生まれるでしょう。
まとめ
65歳から年金のみで生活するには、現状のままではかなり厳しいかもしれません。まずは家計の収支やこれから起こるイベントを把握してください。その上で、貯蓄を増やす努力をする、長く働き続ける選択をするなど、今できることから備えていけば、着実に老後資金を増やしていくことができるでしょう。 出典 厚生労働省 公的年金シミュレーター 総務省 家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要 厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部