「アルバイトから社長に」 ケーズHD・吉原祐二社長「家電に絞って利益創出」
ケーズホールディングス(HD)の社長に吉原祐二取締役専務執行役員が6月27日付で昇格した。吉原氏は、前身のカトーデンキ販売にアルバイトとして入社。正社員となってからは新規店舗の立ち上げや店長、フランチャイズ企業への出向などを経験し、本社では営業や管理部門を歩んできた。2024年4月からスタートした新中期経営計画では、これまで進めてきた「がんばらない経営」を継続しながら、中長期的な成長に向けて地盤固めしていくことを掲げている。吉原社長に戦略を聞いた。 【関連写真】家電量販店では、体感型店舗の展開をはじめ、暮らし丸ごと提案を強化する動きが目立つ ―現場をはじめ営業や管理など幅広く経験されてきました。 吉原社長 当時は家電量販店が新規店舗を拡大していた時期で、新店の立ち上げにアルバイトで関わったのが最初だった。アルバイト時代に接客や販売の面白さに気づき、成果も挙げられるようになり、社員として入社することになった。 入社後は店長も経験した。フランチャイズ企業への出向や八千代ムセン電機(現関西ケーズデンキ)の立ち上げにも携わった。 本社では営業部門で店舗活動の支援に取り組み、働き方改革をはじめ、女性活躍支援や子育て支援などの認定取得も行ってきた。 ―少子高齢化に伴い国内家電市場は大きく成長しないとみられています。 吉原社長 確かに少子高齢化の中で、家電市場は右肩上がりでは伸びない市場だが、そうした中でも家電メーカー各社は素晴らしい商品をそろえている。家電量販店は、それぞれの家電の良さをお客さまにきちんと伝えていくことが使命になってきた。原点に立ち返り、暮らしを豊かにする商品を提案、販売していき、お客さまに「ありがとう」と言われることを目指すべきだと思っている。 ―量販店各社は家電だけでなくリフォームや暮らしにかかわる提案を強化しています。 吉原社長 当社は家電に特化して利益創出を目指す戦略を打っている。もちろん機会があれば家電以外も検討する。 現在は家電量販店だけでなくホームセンターをはじめ他業種でも家電を取り扱う動きが出ている。その意味でも家電は暮らしの中でますます重要になっているし、家電に絞ってお客さまに価値を訴求するやり方は間違っていない。 ただ、市場が大きく伸びない中で収益をあげていくには店舗効率などを見直していくことが必要だと考えている。常に市場でのポジションをみながら改装や出退店を検討している。デジタルトランスフォーメーション(DX)を強化し業務の効率化にも取り組んでいる。 ―どのような会社にしていきたいですか。 吉原社長 企業ビジョンを伝え従業員エンゲージメント(愛着心)を高めていけるよう人財を大切にしていきたい。特にお客さまから信頼され、また買いたいと思ってもらえる販売力と提案力をつけていく。 まだ弱いEC(電子商取引)とDXを加速させていく。あんしんパスポートアプリやLINEチラシなどのデジタル販促と、紙のチラシとを地域や顧客層などに合わせて展開し、囲い込みを進めていきたい。
電波新聞社 報道本部