金属トレーダー採用ラッシュ-人材争奪戦激化でボーナス上昇
(ブルームバーグ): 複数の大手エネルギー商社が金属取引に参入していることで、採用ラッシュが起こり、給与が押し上げられている。一部の上級幹部は、これほど激しい競争は見たことがないと話す。
金属トレーダーの争奪戦によって、業界全体の報酬水準が上昇していると、複数の商社の最高経営責任者(CEO)が明らかにした。1人のCEOは、自身の会社でジュニアトレーダーに多額のボーナス確約が提示されていることにショックを示した。
金属取引では、これまで市場規模がエネルギーと比べると小さく利益の機会も少なかったほか、グレンコアやトラフィグラ・グループが支配的存在となっており、多くの競合他社の参入を阻んできた。しかし現在では、エネルギー転換による急速な需要拡大が見込まれる中、大手石油・ガス商社が、ここ数年の巨額利益の一部を金属事業に注ぎ込もうとしている。
「石油業界でさえ、こうした状況は全く目にしたことがない」と、商品業界の人材スカウト会社HCグループのマネジングディレクター、ダニエル・コーデル氏は指摘。「突如としてこれらの巨大商社が参入し、一斉に金属チームの採用を始めた」と述べた。
マーキュリア・エナジー・グループはここ数か月に、金属チームで約40人のスタッフを採用。金属取引で大手企業に対抗する取り組みの責任者として、元トラフィグラのトレーダー、コスタス・ビンタス氏を起用していた。
ビトルはマーキュリアやグレンコアから人材を引き抜いているほか、ガンバー・グループは精錬金属と採掘された鉱石の取引を行うため、少なくとも6人のトレーダーから成るチームを採用。ジャベリン・グローバル・コモディティーズも人材採用を進めている。
人材争奪戦を受け、業界の既存企業も対策を余儀なくされている。トラフィグラは、一部のシニアトレーダーが競合他社で働けない契約期間を最大12カ月に延長した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。