ポルトガル料理研究家の馬田草織さんが選ぶ、普段の料理が激変する調味料。
毎日使う調味料、どんなものを、何を基準に選ぶのが正解なのだろう? ポルトガル料理研究家の馬田草織さんに教えてもらいました。
馬田草織さん|丁寧な仕事が光る調味料で普段の料理が激変。
よい原材料や素材を使ったもの、生産者の真摯な仕事により作られたものに惹かれます。同時に適度な価格やオンラインなどで入手できる手軽さも重視しています。中には少し値が張るものもありますが、丁寧な製造工程を知ると、値段にもきちんと理由があるのだと納得できますし、何よりきちんと作られた調味料は本当においしい。実際、料理酒を変えただけで、煮物や汁物、鍋など、いつもの料理がレベルアップしたなと実感しています。
三州三河みりん(角谷文治郎商店)
もろみ熟成に3カ月、さらに1年以上熟成させた本みりんは、明治43年の創業以来、伝統的な醸造方法を守り抜く老舗のロングセラー品。キレのいい甘みとテリ、ツヤのよさが特徴で、素材によく味をしみ込ませ、旨みを逃すことなく閉じ込めてくれる。「甘さが上品でコクがあるところが好きです。みりんならではの旨みを感じられます」。
井上 古式じょうゆ(井上醤油店)
江戸時代から使われる蔵で、加熱処理や酵母添加による醸造促進を施さずに醸造。人間の手を極力入れず、微生物の力だけで醸すことで豊潤で滋味あふれる味わいに仕上げる。「しっかりした塩味がありつつも香りがよく、まろやか。そしてクセがないという理想の醤油。スーパー紀ノ国屋などで取り扱っていて、手に入れやすい点もいい」。
ろく助塩 白塩 顆粒タイプ(ろく助本舗)
東京・赤坂の名店『串焼き ろく助』の店主がこだわり抜いて作ったオリジナルの塩。口に含むと舌の上ですぐ溶け出し、旨みとコクが広がる。顆粒タイプはより溶けやすく、料理に使うのに最適。「塩をベースに昆布や干し椎茸、干し貝柱の旨みなども含むので、これだけで浅漬けや野菜炒め、塩むすびもおいしくなります」。
玄米麹味噌(名刀味噌本舗)
玄米の優れた栄養価をそのままに、長期熟成による独特の旨みと風味を兼ね備える。原料の米と大豆は岡山県産100%。完全無添加。赤味噌を思わせる力強い味わいで、野菜につけて食べるだけでごちそうに。「玄米麹独特の風味や旨み、ほのかな甘みもあるのが魅力。味わい深いという表現がぴったりの味噌」。