グランプリ覇者・松浦悠士が“大一番”を振り返る「自分が走っている当事者感覚が薄かった」
気持ちが込み上げた表彰式、新幹線で食べたチョコレートの味
表彰式を迎えたとき、「ここまで長かったな」という気持ちでした。これまでのグランプリは確定板さえ捉えられず、いつも難しさを感じていました。何の根拠もない話ですが、「今回はチャンスある」とどこか思い込んでいたので、今回獲れなかったら、ずっと獲れない感じではないか…、とも感じていたんです。 でも、さきほども書きましたが、体調を崩したことで余計に高ぶることも、変な形で根詰めることもなく、「その場その場でしっかり判断して、自分ができる走りをしよう」と思えたのが良かったかもしれないですね。2023年は長期欠場も味わい、決して順風満帆ではありませんでした。「最後は笑いたかった」「ここまで長かった」の思いが相まって、表彰式では自然と込み上げる感情がありました。 そして帰り道。一気に疲れがどっと押し寄せてきました。新幹線で帰ったのですが、重たい疲労感の中でチョコレートを食べました。このチョコレートはグランプリシリーズ開催中に、僕が砂糖を控えていることを知っている深谷さんが「終わったら食べて」と差し入れてくれたものです。深谷さんの気遣いも込められている気がして、本当にめちゃくちゃうまかったです。今年初出場の川崎記念明けに深谷さんと練習する機会がありましたが、すっかりスイーツ友達になっています(笑)。深谷さんありがとうございました! ■応援してくれる人達に“2回目”を見てもらえるように レースが終わってから、長く応援してくれる人達からたくさんのメッセージを受け取りました。「ずっと買ってたよ!やっとだね」などの言葉とともに祝福してもらえて“やっと”の思いを共有できたことは格別に嬉しかったです。みなさん、いつの時も応援していただき本当にありがとうございました! それと、今回のグランプリは現地観戦予定だった家族が体調不良で来られませんでした。グランプリの会見でも前回のコラムでも「あと10年間SSでいたい」と大目標を掲げていますが、もしもその予定通りに行けるのなら、またグランプリを走るはずです。今度は応援してくれる家族に“生”で優勝する姿を見せられるように“2回目”を目指して頑張っていこうと思います。(中略)