日産フェアレディ240ZG(昭和46/1971年11月発売・HS30型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト067】
Gノーズにオーバーフェンダー架装の元祖ワークス・チューニングカー
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第67回目は、全米で大ヒットした日産フェアレディ240ZGの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】 2393ccの直列6気筒SOHCエンジン・L24型 を搭載。(全2枚)
昭和44(1969)年10月に発表され、そのスタイルとリーズナブルな価格、そして高性能で日本のみならず、世界で注目を集めた初代S30型フェアレディZ。70年代の幕開けを象徴する新世代のスポーツカーとして、Zはアメリカ市場で“Zカー旋風”を巻き起こし、「ダットサン240Z」の名で大ヒットを記録する。 当初、 日本国内は2Lモデルのみの設定で、スカイラインGT-Rと同じS20型6気筒DOHC24バルブユニットを積むZ432を筆頭に、L20型6気 筒SOHCのZとZ-Lをラインナップ。Z432は2L最強となる160ps/7000rpmを、Z-LとZは130ps/6000rpmを発生した。 海外へは2.4L のL24型搭載の240Zが送り込まれた。これは北米市場を強く意識したモデルゆえの選択だが、昭和46(1971)年11月から日本にも投入されている。 3タイプが設定され、ベーシック版のZに相当する240Zから、5速MT仕様の240Z-Lと、エアロパーツで武装した240ZGが発売された。 中でもマニアの注目を集めたのは、日本専用モデルとして開発された240ZGだ。240Zに対し240ZGは190mm長いエアロダイナノーズ(通称・Gノーズ)を採用し、4輪にFRP製のオーバーフェンダーを装着した。 そのため全幅は60mm拡大され、ルックス的にも精悍かつ個性的なものに変身した。タイヤもフェアレディZとしては初めてラジアルタイヤを標準装備していた。 エンジンはL20型6気筒SOHCをベースに、これをスケールアップしたL24型を積む。というより、ブルーバード1600SSSに搭載されたL16型4気筒エンジンに2気筒を加えたものである。SUツインキャブを装着するが、レギュラーガソリンの使用を可能にするため、圧縮比は8.8に落とされている。 とはいえ、性能的にはトップレベルにあり、150ps/5600rpmの最高出力と21.0kgm/4800rpmの最大トルクを発生した。 トランスミッションはL型エンジンの中で最も素性が良いと言われたL24型にはポルシェシンクロの5速MTをコンビ(Z-LとZG)。最高速は240Zで205km/h、空力性能を向上させた240ZGでは210km/hに達した。 事実、国内外のサーキットでは抜群の速さを見せつけ、多くのレースでライバルを圧倒している。また国際ラリーでも大暴れし、サファリ・ラリーでは1971年の初参戦で1-2位を独占、73年も優勝している。 昭和48(1973)年9月、Z432とともに240Zは生産中止に。後継モデルとしてスケールアップ版の260Zも企画されたが、オイルショックのあおりを受け、国内には投入されなかった。最終的にS30型は9年に亘るモデルライフを全うし、昭和53(1978)年8月、2代目・S130型にバトンを渡す。世界に衝撃を与え、新時代の扉を開いたクルマ、それが初代S30型Zなのだ。