大逆転も起きうる最終シリーズ。パリオリンピックへの切符をかけた「オリンピック予選シリーズ 上海大会」スケートボード・ストリート種目の見どころ
パリオリンピック予選としては最後となる「オリンピック予選シリーズ(OQS)」の一戦目である上海大会が、中華人民共和国・上 海にて2024年5月16日(木)~5月19日(日)の4日間にわたり開催される。 2022年6月にイタリア・ローマで開催された「WST Rome」から始まり、約2ヶ月前にドバイで開催された世界選手権までの約2年間で計6戦を通して続いてきたオリンピック予選のフェーズ1が終わり、フェーズ2として開催されるのが今回の上海大会と来月6月に開催されるブダペスト大会の2大会だ。フェーズ1のポイントとこのフェーズ2の2大会の結果を合算した上でパリオリンピック代表選手が決まることとなる。 本シリーズには、フェーズ1終了時の世界ランキングポイントに基づいて選出された44名の選手に出場権が与えられる。ただしこれは世界ランキングの上位44選手ではなく、最大国枠(各国から最大6名など)、オリンピック選考基準に基づいて選考された44選手となり、限られた選手だけが出場できるパリオリンピック前の最終予選大会となる。 そして何より注目すべきはこの2大会の得点配分だ。なんと1大会で最大25万ポイントすなわちオリンピック予選大会の全体のポイント配当の3割近くを獲得できることから、1大会で世界ランキングからパリオリンピック出場枠争いがガラッと変わり大逆転が起きることも想定されるオリンピック予選大会で一番注目の大会である。 本記事では男女の現在の世界ランキング(2024年5月9日現在)を元に、今大会の見どころを解説する。
女子ストリート種目
オリンピック代表選考基準としては世界ランキング20位以上、各国からは上位3名までが出場権を獲得する形。20位以上に同国から3名以上いる場合は、繰り下げで20名になるように出場権が割り与えられる。更に開催国枠や大陸枠などが考慮され22名がパリオリンピック出場となるのだ。そして現在のランキングは以下の通りである。(2024年5月9日現在) なお本シリーズへ駒を進めた中でトップ20に3名以上がランクインしている国は日本、ブラジル、オーストラリアの3ヶ国であり、フェーズ1を終えて日本から最大人数の計6名、続いてブラジルとオーストラリアが3名ずつという状況だ。 やはり今大会も引き続き目が離せないのが日本人選手の出場権争いであることは間違いない。なぜならさすがはスケートボード最強国であるだけあり、今回出場する6名は世界ランキングトップ10に入っており、その順番は西矢椛(1位)、織田夢海(3位)、赤間凛音(5位)、中山楓奈(6位)、吉沢恋(7位)、伊藤美優(9位)となっている。そしてそんな状況で迎えるのがオリンピック予選大会の中で最もポイント配当が高い本シリーズ。特に西矢から吉沢までは全員10万ポイント以上を確保しており。この段階では誰が出場権を獲得するのか想像もつかない。少したりともミスが許せない戦いになることは間違えないだろう。 そんな日本人選手たちの出場枠争いをより難しくしてくると考えられるのがブラジルの存在だろう。世界最高のスケーターと呼び声の高い世界ランキング2位のライッサ・レアウをはじめ、8位にはパメラ・ローザ、11位にはガビー・マゼットという世界大会での優勝経験を持つ選手を輩出しているブラジルが手堅く上位にランクイン。特にレアウはSLSシリーズでは表彰台を多く獲得するも中々このオリンピック予選大会では思うような成績を残せていない印象。ただ彼女がそのままパリオリンピックに向かうはずがないので、このOQSでは日本人選手たちを脅かすパフォーマンスを見せるのではと考察している。 そしてもう1人、日本人選手たちのライバルとして君臨しているのが、弱冠14歳のスーパースターであるクロエ・コベル。昨年様々な世界最高峰のコンテストで優勝、今年も「2024 SLS PARIS」で優勝、「WST Dubai」で準優勝を果たすなど今シーズン絶好調の彼女がこのOQSでも優勝争いに食い込んでくることは容易に考えられる。 また同じアジア大陸として今後強敵になり得るのが、現在世界ランキング13位である中国のチェンシー・チー。世界ランキングトップ20の中ではコベルと同じ最年少の14歳でありる彼女。スケートボードキャリアまだ3年と短いものの、昨年はアジア選手権で優勝、世界選手権では8位、そして今年の「WST Dubai」では7位と急成長している彼女がこのOQSでどうトップ10を相手に戦うのか注目だ。