進まぬ復興、傷跡深く 能登半島地震発生から半年 支援続ける長野県松本市の瑞松寺住職語る
元日に発生し、長野県中信地方でも震度4を観測した能登半島地震は、1日で発生から半年を迎える。瑞松寺(長野県松本市中央3)住職で国際NGO・シャンティ国際ボランティア会(東京都新宿区)副会長の茅野俊幸さん(58)は、発災直後の1月9日から石川県輪島市門前町に入り、現在も門前町と松本を行き来しながら被災者支援を続けている。6月28日、市民タイムスの電話取材に応じ、生活再建が思うように進んでいない被災地の現状を伝えた。 茅野さんは現在、傾聴ボランティアとして被災者の困り事を聞き出し、ひとときの安心を感じてもらおうと活動している。現地入り当初は市が公民館に設けた避難所で市職員に代わり避難所運営をしていたが、当時約200人いた避難者は半年で30人ほどになった。町内に建てられた仮設住宅には約800人の申し込みがあり、うち8割強がすでに入居できたという。 一方、街中を見渡すと、今でも至る所に全壊の建物が残っており、茅野さんの感覚だと解体済みは数%にとどまる。市による公費解体が進められているが、解体業者が不足していたり、所有者が高齢で家の中から貴重品や思い出の品を取り出せていなかったりするためだという。街のシンボル・総持寺祖院も被災し、平成19(2007)年の能登半島地震で被った約46億円の損害よりもさらに大きな被害があるとみられる。 現在は住民らによる新たなまちづくりの議論が活発になっている。災害復旧の手続きで市職員は多忙を極める中、40代以下の若手商店主でつくる協会などが街の将来ビジョンを描き始めている。9月には市も加わり議論が本格化する予定だ。 茅野さんは「奥能登は交通アクセスが悪いこともあり、だんだん人が引き始めている」と関心の低下や支援疲れによる復興の遅れを危惧する。「まずは復興が進まない街を見に来てほしい。できればその状況を自分の地域で伝えて」と訴える。
市民タイムス