いま最も注目を集める若手建築家・山田紗子さんを知っている?最新プロジェクト4軒をチェック!
「新しい価値観を創造する」をモットーに、抜きん出た発想力で未知の建築の可能性に挑み続ける山田紗子さん。その妥協のない姿勢は、確実にすべての作例に映し出されています。山田さんにしか生み出すことができない“新しさ”をもった実績を、4件ご覧に入れます。 【写真集】アイデアに驚き!次世代クリエイター山田紗子の実例紹介
【case_1】自邸「daita2019」/内外を一体空間として錯覚させるようなプラン
敷地は住宅街の角地。計画のテーマは、限られた広さのなかで庭をしっかり確保しつつ、室内をいかに狭く感じさせないように工夫を凝らすかでした。山田さんは、庭と家を一体的に認識できるような建築を目指したといいます。 まず、内と外の接面が最大になるよう、敷地を長手方向に2分割し、細長い家と細長い庭を隣接させます。 そのうえで、庭にはテラスや外階段など人間の活動領域をあふれ出させ、室内も構造材や筋交いなどをあえて露出させることで、内外の線の多さや密度、風景のバランスが同等になるよう計画しました。 柱や筋交い、階段など多くの「線」越しに、それぞれの居場所が緩やかにつながり、屋外からも双方向に様子を伺うことができます。線の多さが自分の居場所をコージーに感じさせたり、向こう側の空間を実際以上の距離で感じさせたりする効果ももたらしました。
【case_2】住宅「waseda」/建物の中央に大きならせん階段がある家
建物の真ん中に、階段のような、床のような、どちらにもなり得る「存在」を設けた斬新な住宅。 敷地は都内の住宅地で、間口4m×奥行き12mの細長い形状。4人家族のための生活空間を確保するには、普通に考えれば必然的に建物は上方向に伸ばすしかありません。しかし、そうすると、どうしても居室空間に対して階段が占める割合と面積が大きくなってしまいます…。 その解決策として山田さん提案したのが、大きならせん階段。ゆったりとした階段板が、一段一段小さな場所をつくりながら各部屋をつないでいくプランを発案。 特定の室名をもたない、気ままに過ごせる場が家の中心に広がる、楽しい家が完成しました。
【case_3】住宅「miyazaki」/柱や階段や家具など、モノの集合がつくる自由な心地よさ
設計の初期、空間に縛られず自由にふるまうことが上手な建て主の生活像を見て、山田さんが着想を得たというのがオーストラリアの先住移動民族アボリジニ。 その世界を頭の片隅で参照しながら、設計案を練ったプロジェクトです。 平屋のなかに部屋らしい場所はつくらず、柱や階段、家具などのモノをランドマーク的に点在させました。それを拠りどころに、あるいはその隙間で、家族それぞれが思うように暮らす姿をイメージしました。