パドルワームが廃れた理由?「アメリカの職人が少なくなった。他に釣れるワームが出てきた」
かつては一斉を風靡したが、最近はやや見かけなくなってきているジャンルがある。釣れなくなったのか? それとも他の釣りに置き換わったのか? そのカテゴリーの達人に、昔よく使っていたルアーと、自身がプロデュースしたルアーの関係について改めて再考してもらった。 【画像】パドルの魅力はスライドフォールと着底後の倒れ込み。使い込んだパドルワーム6選
西村嘉高(にしむら・よしたか)
ホームグランドの霞ヶ浦水系でW.B.S.トーナメントに参戦し、高い成績を納めてきている。高精度のハードベイティングやカバー撃ちを得意とするクレバーな理論派アングラー。
ドルからファイボスへ受け継がれるスライドフォースの系譜
パドルの釣れる秘密はスライドフォールにある。90年代を中心に霞ヶ浦水系で大活躍したのがカリフォルニアパドル。 「パドルの始まりはハンドポワードが主流。モチモチした浮力のある素材だから、面で水を押す強さをすごい強調できたんだよね。サンフランシスコに自分でオーダーして、自分だけの色を指定して作ってましたよ」 では、パドルならではの良さとはなんだろうか? 「当時実感してたのは、霞ヶ浦に多かったハゼやゴリ、ヨシノボリ、テナガエビなどにパドルがマッチ・ザ・ベイトしていたから。カーリーテールやグラブなどの動くテールと違い、平べったいテールで水を押すことにより、タフコンディションでの食わせベイトとして機能していたんです。そして、手前へのスライドフォールがパドルのキモです。例えばストレートワームをテキサスにすると、ほぼ真下に落ちる。でも、斜め方向に追わせることができるのがパドルの強みですね」 そして、パドルの強みがいろいろなジャンルへと派生していく。 「パドルを使い込んでいくうちに、スライドフォールとボトムの倒れ込みがキーになっていることに気付きました。手前にスライドフォールしてくることで、浮いた魚とかに長い時間ルアーを見せて食わせることができるんです。それで、パドル以外にも同じ要素を持つルアーに着目していきました。そのトータルバランスで生まれたのがエスケープツイン(ノリーズ)だと思うんです。そこに、さらにスライドフォールという面を強調したものを作りたかったんで、5つのパドルが組み込まれたファイボスを作ったんです」 では、純粋なパドル形状のワームが廃れた理由は? 「まず、アメリカのハンドポワード職人が少なくなって、手に入りにくくなったのがひとつ。あとは、コンパクトなのにバルキーとか、釣れる要素をひとつに盛り込んだ優れたワームがいっぱい出てきた。それでパドルが廃れていったんだと思う。バスの数が落ち着いて、より高性能で発見してもらいやすいルアーのほうが有利になってきたのかな」 【画像】パドルの魅力はスライドフォールと着底後の倒れ込み。ストレートワームやクローワームは着水後にほぼ真下に落ちていくが、パドルは斜めにスライドフォールするので長くバスに見せられる。そして着底後には大きなテールでの倒れ込みでバスを誘う。西村さんはパドルのこの要素を他のワームへと派生させた。 【画像】浅い水深で誘わなければいけないマッディシャローのカバー撃ち。パドルはこの短い距離でも優秀な仕事を果たしていた。 【画像】ファイボスはプロトの段階から驚きの釣果を出してきた。亀山ダムでは開始早々に56cmをキャッチしたということも。