突然、足が動かなくなる恐怖…元伊藤忠商事会長・丹羽宇一郎が「大病を患ってわかったこと」
担当医はこうやって決めた
素人判断で薬を勝手にやめるのは危険だと思いますが、「今のままで大丈夫なのか」と不安になる気持ちは、私にもよくわかります。病気をすれば誰でもそう思うでしょう。セカンドオピニオンを求めるのも、患者として当然の権利です。 けれど、私自身は、今の病院や医師を変えようとは思っていません。 私の担当医は、いわゆる「かかりつけ医」ではありませんが、初診から入院時にかけての病気に関する説明や、さまざまな発言から、「この人なら信頼できる。お任せして大丈夫だろう」と感じたからです。 もともと私は、「自分のことは自分で責任をもってやるしかない」という考え方で生きてきました。医師選びもそれと同じです。医学の専門的なことは私にはわかりませんが、自分自身が「この人なら信頼できる」と感じるなら、それが自分にとってベストの医師だと思っています。病院選びについては、「自宅の近隣にある」ことが大事だと思います。 高齢になると、通院は年に一日や二日ですむことではなくなりますし、体力が低下し、足腰も弱ってくるので、家から病院まで距離があると、とても通いきれません。 「やっぱり近くの病院じゃなきゃ続かないよな」これが私の実感です。 日々の生活のなかで私が最も大事にしているのは、「現状維持」。健康状態を今より悪くしないことです。人間の健康状態を階段にたとえるなら、私たちは加齢とともに長い階段をステップダウンしていくことになります。 階段を逆戻りしようとする人もいますが、歳をとってからのステップアップには限界があるでしょう。むしろ、身体をさらに悪くして階段を転げ落ちてしまうようなことにもなりかねません。それよりも、今のステップにできるだけ長く踏みとどまるように努力するほうがいい。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽 宇一郎