仕込み時間は9時間以上!千葉県東庄町のC級グルメ「しじみ丼」の奥ゆかしき味わい
「シジミが好きだ!」という貝好きは少ない。見た目にもアサリやハマグリのインパクトに欠けるし、イメージとしては「味噌汁の具材で、目の疲れや二日酔いにいいらしいよね」的に扱われるバイプレイヤー的存在の貝である。 しかし、千葉県の香取郡にある東庄町では違う。豊かな利根川に面し、昔からシジミの名産地として有名で、50年ほど前までは全国の生産量の半分を占めていたというが、現在はシジミの漁獲高が激減してしまったという。 そこで、約20年前に町おこしの一環として商工会議所などが中心になり、新しい名物の開発に着手。それが変わり種の丼もの「しじみ丼」である。 今回、訪れたのは東庄町の「青柳亭」。看板には、そば、うなぎ、うどんと書かれているが、カレーやトンカツ、煮物など「何でもあります」的な和の食事処である。 定食も居酒屋メニューもあるし、2階席は地元の宴会などにも使われているそうだ。
客層は地元のお年寄りや近隣で働く人たちがメイン。お昼前の11時頃ですでに2組の先客がおり、まもなくさらに3組が来店するなど、地元の人気店として賑わっている。 こちらでいただくのは、やはり「しじみ丼」。近くの霞ヶ浦はシジミの名産地として有名だが、実は東庄町のほうが名産地という誇りを感じさせる、作り上げた名物だ。 もちろん「しじみ丼」以外にも「しじみ汁」と「しじみおろし」、「しじみのかきあげ」といったシジミを活用したシジミメニューが揃う。
注文後ほどなくして、今回のメインである「しじみ丼」が出てきた。 パッと見は「玉子丼の上にシジミをのせただけ」な感じだが、シジミ特有の奥ゆかしい潮とも湖とも言えない貝特有の匂いに食欲が刺激される。 さっそく頬張ってみると、ちょっとびっくりするほどシジミの濃厚な味わいが強く感じられた。何でも、シジミのむき身を作る過程でできた茹で汁を煮詰めてできた濃厚なエキスを、醤油と砂糖で味付けし、強烈な旨味に変化させているのだという。