道具で時代を振り返る 9月8日まで館山市博で収蔵資料展(千葉県)
約100年前から現代にかけての暮らしの中で使われた身近な生活道具を展示し、時代の移り変わりを振り返る、館山市立博物館の収蔵資料展「ちょっと昔のくらしの道具」が始まった。衣食住に関する100点余りが展示され、子どもから大人までが幅広く楽しみ、学ぶことができる。9月8日まで。 市内の小学3年生が授業で昔の道具について学ぶのに合わせ、常設展では見られない多くの道具を、夏休みを利用して実際に見て学ぶ機会にしてもらおうと開催された。子どもの親や祖父母の世代には懐かしい品々もあり、道具の移り変わりについて世代をまたいで話題にしてもらうことも目的。 今は使われなくなった道具から、形や大きさ、素材、使い方などを変えて使われ続けている道具まで、「衣」「食」「住」に分けて展示。通信機器や暖房器具、音楽機器、調理器具など、時代とともに変遷した道具を比較するように見られるものもある。 布のしわをのばすのに使われた道具の展示では、明治から昭和の中ごろまで使われていた4種類の道具を並べた。ひしゃくのような形をした「火のし」は、道具としては平安時代から使われていたもので、金属製の容器の中に炭火を入れて底面を布に当ててしわをのばした。金属製の先端部を炭火で直接熱して使った「焼きごて」や、現代のアイロンと形が似ているものの、炭火を使うものや電気コードがついたものなど、電気やプラスチックなどの普及とともに形を変えてきたことが分かる展示となっている。 この他、触ることができる資料のコーナーも設けた。氷の冷気で冷やす「氷冷蔵庫」(明治終期~昭和中期)や電気炊飯器(昭和中期)などは、実際に開けて内部を見ることができる。 木更津市から来た春田航史郎さん(中1)は「古い電話はアニメ映画で見たことがあったけど、実物は初めて見た。並べて見てみるとどんどん小型になって便利になっているのが分かる」と、興味津々な様子だった。 担当者は「多世代で道具や時代の移り変わりを振り返るきっかけとしてもらえたら。また、どのように使用していたのか分からない資料も多々ある。展示を見てもらうのと同時に、『こうやって使っていた』という体験や地域によって異なる呼び名などもぜひ教えてほしい」と話していた。 午前9時~午後4時45分。月曜日休館(祝日の場合は翌日)。一般400円(館山市民200円)、小中高生200円(同100円)。館山市民の65歳以上は無料。8月7日には学芸員による展示解説会(午後1時半~2時半)がある。 問い合わせは、同館(0470―23―5212)へ。