半導体の在庫調整続く 半導体商社21社4~6月業績、増収は6社 通期も保守予想目立つ
上場する半導体商社21社の2025年3月期第1四半期(4~6月)連結決算は、半導体・電子デバイス関連の在庫調整局面が続き、増収は6社にとどまった。21社の合計の売上高や営業利益、経常利益、純利益はいずれも前年同期と比べて減少しており、業況の厳しさをうかがわせる。 【関連写真】上場する半導体商社の4~6月期業績一覧 主要21社の4~6月期は増収が6社、最終増益が10社となった。半導体・電子デバイス関連は、産業機器市場を中心に顧客の在庫調整局面が継続している。 マクニカホールディングスは、半導体事業の売上高が12.6%減の2187億円。車載向けは43%増と伸びたが、産業機器向けが35%減少した。 レスターのデバイス事業は、9.9%増の1196億円。産業機器向けは低調だったが、車載向け・民生向けは堅調に推移した。 在庫調整の影響により、加賀電子の電子部品の売上高は7.2%減の1200億円となった。 4月に発足したリョーサン菱洋ホールディングスのデバイス事業の売上高は644億円。子会社であるリョーサンと菱洋エレクトロの前年同期の単純合算と比べて20.6%減で、在庫調整の影響が出ている。 トーメンデバイスは、サーバー・ストレージ、車載向けDRAM、NAND型フラッシュ製品の売り上げが増加し、メモリー分野の売上高は32.5%増の869億円と好調。半面、SiP(システム・イン・パッケージ)やファウンドリーの売り上げは減少し、システムLSI分野の売上高は31.5%減の122億円だった。 FA市場にも停滞感 産業向けを中心とした半導体市場の回復期は、24年度後半と予想する企業が多い。一方、受注残の消化などで堅調な売り上げだったFA関連にも停滞感が漂っており、市場の不透明さが強まっている側面もある。 RYODENのFAシステム事業の売上高は9.7%減の111億円。中国経済の減速で関連する装置メーカーや工作機械メーカー、販売店向けが低調に推移した。立花エレテックのFAシステム事業の売上高は12.0%減の258億円で、FA機器分野では前年、大幅伸長したプログラマブルコントローラーやACサーボが減少した。カナデンのFAシステム事業も経常減益となった。 半導体や中国などの市場の影響を考慮し、各社の25年3月期通期業績は保守的な予想が多くなっている。
電波新聞社 報道本部