母を妊娠させたのは私の夫。最愛の家族に裏切られ絶望に突き落とされた。誰も幸せにしない不倫の行く末は…【書評】
酒に酔ってソファで寝てしまった和也のスマホを見たことで、くるみの疑惑は確信へと変わっていく。母は和也との不倫の末にその子どもを妊娠していたのだ。そうなると、母がくるみに対しぎくしゃくとした態度を取っていたのも納得できる。娘の夫と不倫して妊娠したなんて、口が裂けても言えないだろう。最愛の人たちに裏切られたという知りたくなかった事実を知り、くるみは追い詰められていく。 辛すぎる現実から逃げるように、仕事に没頭するくるみ。しかし、そんな間にも母のお腹の中で和也との子どもは育ち続けているのだ。どれだけ不幸から目をそらしていても、くるみの絶望が終わることはない。くるみはそんな現状に決着をつけるために父と共に動きはじめるのだが、母と和也の不倫の裏には和也の歪んだ愛が隠されていて――。
本作は、この先大きすぎる悲劇に向かって突き進んでいく。不倫とは、した人はもちろんされた人も幸せになれないものなのだろう。読み終わるころには、家庭を壊す不倫への強い怒りを感じるはずだ。くるみたちは母と夫の不倫を経て、どんな結末を迎えるのだろうか。物語の行く末を、ぜひ最後まで見届けてもらいたい。 文=ネゴト/ 押入れの人