レスリングが再び五輪競技から外れる危険性は?
レスリングは確かに、2013年9月に五輪競技としての存続が決定した。だが、しかし、それは今後もずっと存続する保証がされたのではない。2020年までの2大会は実施するという約束に過ぎない。そして、忘れてはならないのは2020年東京大会に、今と同じ種目数が保障されているわけではないことだ。 12月8日にモナコで開かれたIOCの臨時総会で、2020年五輪の競技数の上限がなくなったことが話題になった。野球やソフトボール、スカッシュや空手にも実施する道が見えたと喜ぶ声が聞こえていたが、レスリングは危機感を持つべきではないのか。このときの臨時総会では、同時に参加選手数が約1万500人、種目は310が上限と定められている。つまり、追加される競技のために、既存の競技種目の種目や人数が削減される可能性があるのだ。 20年以上も前から五輪の実施種目から外したらどうだという勧告が繰り返されてきたグレコローマンは、レスリングの3種目の中でもっとも危機感を抱くべき存在だろう。フリースタイルと同じ試合時間では時間がかかりすぎるのだから、グレコローマンだけ試合時間を短縮するなどの思い切った変更を本気で検討してはどうか。 フリースタイルも、前述のような試合をしていると知られてしまったら、階級の数を減らすなど選手数を減らす努力を求められるかもしれない。古代の五輪からある競技であること、近代五輪の第一回から実施されていることが、五輪競技存続のアドバンテージにならないことは、すでに身に染みているはずだ。 21世紀という時代にあわせたスポーツを目指して、危機感を忘れずに競技改革に取り組んでほしい。 (文責・横森綾/フリーライター)