津波が来るぞ、命を守れ…園児は急ぎ高台へ 石油備蓄基地では燃え上がる施設へ陸と海から一斉放水 いまやどこで起きてもおかしくない大地震に備え防災訓練
鹿児島県志布志市は5日、「津波防災の日」に合わせて地震・津波防災訓練を実施した。市民それぞれが安全確保行動を取る「シェイクアウト訓練」を含めて約4500人が参加し非常時の避難行動や備えを再確認した。 【写真】火災を想定し、一斉放水する消防車両=いちき串木野市の串木野国家石油備蓄基地
南海トラフ巨大地震が発生し、震度6弱の地震を観測、大津波警報が出た想定で実施。午前10時過ぎに防災行政無線で警報が流れると、沿岸部の小学校などは高台避難訓練を行った。 カトリック志布志幼稚園の園児52人は職員と国道220号を渡って市役所経由で高台の市文化会館まで登り、約20分かけて避難する経路を確認した。 市総務課によると、今回は8月に発生した日向灘地震を受けて、従来の訓練のようなシナリオを設けずに実施。津波第1波が到達するまでに市や消防団が取るべき行動や、自衛隊や警察など関係機関との情報伝達方法を確認した。避難所状況や道路被災箇所が分かる「災救マップ」も2025年4月の本格運用を前に初めて活用した。 いちき串木野市の串木野国家石油備蓄基地では1日、総合防災訓練があった。県や市など11機関から130人が参加し、万が一に備えて手順や協力体制を確認した。 甑島東方沖を震源とする震度6弱の地震が発生し、設備が被害を受けたと想定した。海に漏れた原油の拡散を防ぐオイルフェンスを設置した際、海中転落した作業員の救出訓練を初めて実施。消防が救命ボートを使って素早く引き上げ、海上保安部の巡視艇に引き渡した。ドローンによる被害状況把握や火災が起きたとして陸と海からの一斉放水も行った。
同基地事務所の高橋隆治所長は「迅速、的確な動きができていた。想定される状況を随時取り入れながら習熟させていきたい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島