25年ぶりセ・リーグ優勝へ秒読み 赤く染まる広島のまち
「弱いカープしか知らない」若い世代 「初めて」の優勝に「心の準備が出来ない」
若い世代に話を聞いた。球場でアルバイトもしている甲斐千尋さんと田中芽衣さん(共に18歳)は幼少からのカープファンクラブに入会するほどのファンだが田中さんは広瀬選手、甲斐さんは丸選手の大ファン。「優勝は初めての事なので思いっきり楽しみたいと思います」と顔を見合わせて笑った。 最近のカープの人気ぶりは嬉しいそうだが、ファンクラブへの入会希望者が多すぎて抽選になり、入れない年もあるのが不満だそうだ。二人とも子供の頃から家族で野球を観戦して気付けばファンになっていたという。「でも私たちは弱いカープしか今まで知らなかったから、急に凄いことになってビックリです」。 他にも多くの『優勝を知らない世代』にインタビューしたが、やはり『初めてなので何をやれば良いか判らない』、『心の準備が出来ないうちにマジックが減っちゃう』という声が多かった。
黄金時代を知る世代が持つ身内感覚 カープ女子ら若いファンに感謝
また、“カープ黄金時代“を知っている、およそ40歳以上のファンは、更に感慨深く今回の優勝を噛み締める。西 和幸さん(52)、加藤義孝さん(52)、森本圭司(44)さん、森川明宏さん(56)の4人で思い出を語ってもらった。 「昔は全然人気無くて、横浜球場で優勝が決まる試合でも当日入れた位だったけれど、今は凄いね」。「昔は勝って当たり前だったんだけど、まさかそれから25年も優勝から遠ざかるなんて考えもせんかった」。「なんでファンか、って聞かれても困るけど、昔からワシらと一緒にあるチーム。昔からのファンは学校のOBに似た感覚じゃないかな」。「酒飲んで、ヤジをバンバン飛ばしていた時代が懐かしいね」と様々な想いが溢れる。 また、今回の優勝については「球場が新しくなって、カープ女子に代表される若い世代が応援してくれているお陰じゃろう」と口を揃えた。「今は人気がありすぎて観戦チケットを手に入れるのも一苦労じゃけど、そうやって人気が出たからこそ、カネに困らなくなって、力が付いたのは間違い無い。泣きながら球団を出ていった選手も帰ってきてくれたし、ホンマに感謝しとるんよ」。 そう話す素振りは、いちファンのものではなく、まるで身内を心配する、家族に似た感情のようだった。