タワマン節税が使えない…2024年1月からスタートした新評価制度、富裕層にとって大痛手の現実【相続専門税理士が解説】
見直しのきっかけは、2022年の最高裁判決
しかし、なぜそれほどまでの乖離があったのでしょうか。それは、高層マンションの敷地にポイントがあります。マンションは土地の持ち分として、全体の敷地面積を戸数で分けます。戸数が多いタワーマンションほど、1戸当たりの土地の持ち分は小さくなることから、乖離が生じるのです。 いまは港区や中央区にもタワーマンションが増えていますが、上記の理由から、これらを相続財産として所有しておくと有利だといえます。高層階ほど眺望もよく、実勢価格も高くなり、相続税評価額の差も高層階ほど大きくなります。 この差を利用した節税策が「マンション節税」や「タワマン節税」とも呼ばれ、これまでも相続税負担の不公平性が問題視されていました。 これが改善されるきっかけが、2022年の最高裁の判決にありました。こちらはタワーマンションではないのですが、13億円で購入したマンション2棟を、3億円という低い相続税評価額で申告した相続人に対し、「不動産鑑定評価額は12億円だ」として、国税当局の追徴課税を認めた判決です。判決理由には「他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反する」との記載があります。 新しいルールに変わり、タワーマンションによる大幅な節税効果が見込めなくなったため、そのほかの手法を組み合わせた相続税対策をする必要があると考えられます。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄