子どものことばを育てるのに本当に必要なこと 「ことばのシャワーを浴びせる」のが正解ではない
もちろんこれは子どもに好き勝手させるわけではありません。少し意識するだけでいいんです。例えば保護者と子どもで外出をする際に、声かけをしながらいきなり手を引っ張る人であるのか、まず「外に出るよ」と声かけをしたうえで、本人に(外出のための)靴を見せて、玄関を意識させてから子どもと手をつないで外に出ようとする人であるのか。もちろん後者を推奨しています。 ざっくりとまとめると、「唐突な行動を避けて、活動が変わる際にはタメを作って(そのときに)本人がイメージしやすい目で見てわかるものを手がかりとしてその気にさせる」ことが重要です。
その気にさせている間に子どもは頭の中で次の活動をイメージできるようになっていくわけです。この活動や行動の見通しをつけていくことは、単に状況の理解を促進するだけではなくコミュニケーション面にも大きな影響を与えます。 子どもはわかりやすく次の活動や行動の手がかりを与える大人(の行動)に対して、しっかりと注意を向けるようになります。その注目が視線や表情などの非言語的なコミュニケーション手段の理解を促す土台となるわけです。さらに、その人に対する基本的な信頼関係があるからこそ「(その人の行動を)期待して待つ」といったこともできるようになります。
川﨑 聡大 :立命館大学教授