〈深刻な不漁、影響は全国で〉春の風物詩・イカナゴはどこへ行ったのか?解禁後、たった1日で休漁決定したところも
資源を守る漁業とそうでない漁業
下の表は、ノルウェーと日本のイカナゴの資源状態と将来性、漁獲枠と漁獲対象をまとめたものです。資源管理の違いにより、将来性が明らかに違います。資源が一時的に減少しても必ず復活するノルウェーと、資源の減少が続き枯渇に近づいている日本とでは、あまりにも対照的で悲惨です。 次に下のグラフをご覧ください。生まれてくるイカナゴは、毎年変動を繰り返していることがわかります。またそれに伴い親魚の資源量も変動しています。大西洋では日本と異なり、漁獲するのは生まれたばかりの仔魚ではなく、フィッシュミール(魚粉)にする親魚です。 また、北欧ではイカナゴに限らずサバでもニシンでも、ある年に生まれた個体数が特別に多い年齢群(卓越級群)を獲りすぎずに大事に増やしていきます。一方で、生まれたばかりのイカナゴを数量管理せずに仔魚を獲り続ければいなくなってしまうのは、環境要因云々の前に当たり前なのです。 しかしながらこの「当たり前」のことがねじ曲がって不漁の原因として報道されているので、誤解ばかりが浸透しているというのが、誰も報じない現実なのです。 筆者は、資源管理で北欧の水産業関係者とのパイプが太い数少ない日本人です。このため、誰かが本当のことを伝えないと、大変なことになる(すでになっている)ので微力ながらYoutube「おさかな研究所」でも発信を続けているのです。
片野 歩