《世界最高峰の舞台に1人だけ》NBAプレイヤー・河村勇輝の足元を支えるバッシュ アシックスは「社員一同誇らしく思います」と称賛
小さな体に大きな期待を背負っている。米プロバスケットボールリーグ・NBAに挑戦する河村勇輝(23)だ。日本時間10月26日メンフィス・グリズリーズ対ヒューストン・ロケッツの試合でついに、世界最高峰の舞台でコートに立った。日本人としては4人目。3分間の出場で1アシストの結果だったが、その“足元”を支える者たちも、感慨深いものがあっただろう──。 【写真】イエローを基調としてワンポイントで赤や黒も 河村勇輝が履く『UNPRE ARS LOW 2』
昨季まで日本のBリーグ・横浜BCでプレーしていた河村は今季から渡米。グリズリーズと「2WAY契約」を結んだ。NBAと下部リーグであるGリーグの両方でプレーし、NBAにはシーズン50試合まで出場が可能となる契約だ。いつNBAのコートに立つチャンスが巡ってくるか注目されていたが、開幕2試合目での大舞台となった。田臥勇太、渡邊雄太、八村塁に続く日本人として4人目の快挙であり、Bリーグ出身の選手としては初となった。
これほどの早さで売れたバッシュは過去にない
河村の活躍に沸き立つのが大手スポーツメーカー・アシックスである。河村が履くバッシュは『UNPRE ARS LOW 2』(アンプレ・アルス・ロー・ツー)。今年7月にパリ五輪仕様のイエローのモデルが発売されると爆発的な売れ行きを見せた。アシックスジャパンの担当者はこう説明する。 「アシックスオンラインストアでの在庫消化率は9月時点で96%となっています。想定よりも早く売れ、これほどの早さで売れたバスケットボールシューズは過去にありません」 国内のバッシュ市場でアシックスは圧倒的なシェアを誇り、「まさに独壇場で、他のメーカーが食い込む余地などない」(国内スポーツメーカー関係者)といわれるほどだが、NBAの世界となると話は別で、現在、河村を除いてアシックスのバッシュを履いて出場するNBAプレイヤーはいない。
世界最高峰の舞台に1人だけアシックスのシューズ
バスケの本場、米国で存在感がなかったことについて同社は「バスケットボールプレーヤーにアシックスブランドが定着し、支持されている日本市場にフォーカスしていたことが主な背景になります」(アシックスジャパン担当者)と説明するが、当然ながら今回の河村の“快挙”には沸いている。 「世界最高峰の舞台に1人だけアシックスのシューズを履いた日本人選手が立ってくれていることを選手に関わる社員一同誇らしく思います。これからもさらなる高みを目指す河村選手のパフォーマンスに、少しでも力になれるようサポートしていきたいと考えています」(同前)
日本以外の国での販売のポテンシャルも探っていく
河村がさらなる活躍を見せれば、アシックスの世界戦略も変わってくる可能性もゼロではないだろう。同社は「バスケットボールは(シューズの)商品力だけでなく選手の影響が大きいスポーツと捉えており、当社のマーケティング活動を通じて河村選手が持つ大きな影響力の波及効果が期待できるとみています。今後、日本以外の国においても販売のポテンシャルを探っていきます」と前向きにコメントした。 172センチの“小さな巨人”の持つ影響力は、想像以上に大きいものとなるのかもしれない。 ※週刊ポスト2024年11月8・15日号