ポンド上昇、英中銀利下げ見通し大幅に後退-初回は9月に市場シフト
(ブルームバーグ): 22日の外国為替市場では、ポンドがユーロに対して約2カ月ぶりの高値に上昇。英国のインフレ率が予想されたほど下がらなかったことを受け、イングランド銀行(英中央銀行)の利下げが遅れる可能性が浮上した。
短期金融市場では英中銀の利下げ見通しが大幅に後退し、今や初回の利下げは9月になると見込まれている。欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始から、3カ月遅れることになる。
6月の利下げは「可能性が消えた」とTJMヨーロッパで金融機関向け為替セールスを担当するニール・ジョーンズ氏は指摘。「率直に言うと、8月はどちらに転ぶか分からない」と語った。
つい昨日まで、市場は英中銀がECBと足並みをそろえて来月に利下げを開始し、年内に金利を2回、0.25ポイントずつ引き下げると見込んでいた。だが、このシナリオは崩れ去りつつある。直近のデータで根強いインフレ圧力が明らかになったことが大きい。
ポンドは一時0.3%上昇し、1ユーロ=0.8512ポンドと3月11日以来の高値。トレーダーが金利見通しを修正する中で英国債は下落し、22日の取引開始時に10年債利回りは一時12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.25%となった。
「市場は現在、主要中銀の利下げ開始時期で頭がいっぱいだ。対ポンドでのユーロ下落は、6月利下げで英中銀がECBに追随しない可能性が高まったことを反映している」と、ラボバンクの為替戦略責任者、ジェーン・フォーリー氏は分析した。
4月の英消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.3%と、エコノミストらが予想していた2.1%を上回った。サービス価格の上昇率は5.4%への低下が予想されていたが、実際は5.9%とほとんど下がらず、投資家の特段の懸念を呼びそうだ。
英インフレ率、4月は予想ほど下がらず-早期の利下げ観測後退 (1)
原題:Pound Rallies as Traders Increasingly See BOE Cuts Lagging ECB(抜粋)
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Greg Ritchie, Naomi Tajitsu