円安進行、対ドル160円が再び視野に-市場で高まる介入警戒感
(ブルームバーグ): 外国為替市場で円相場は対ドルで6営業日続落。このまま終えれば、3月以来の長期連続安となり、34年ぶり安値水準に再接近しつつある。市場では日本の当局による円買い介入への警戒も再び高まっている。
20日のニューヨーク市場では一時、1ドル=158銭91銭まで下落。4月29日に付けた160円17銭も視野に入ってきた。
円の下落は、米国など主要国・地域と日本の金利差が続いていることに起因する。日本銀行が先の会合で国債買い入れの削減計画について詳細を明らかにしなかったことも響いている。
門田真一郎氏らバークレイズ証券のストラテジストは「日米金利差が一定の水準を超えている限り、金利差がある程度縮小してもキャリートレードによる円売りは減らない可能性がある」と20日のリポートで指摘。ドル・円相場は年内1ドル=160円近辺で推移するとみている。
円の下落阻止には4-4.5%の日米金利差が必要-バークレイズ
財務省は先日、4月26日-5月29日の為替介入額が9兆7885億円だったと発表。月次ベースの介入額として過去最大を更新した。
政府・日銀の為替介入、過去最大の9.8兆円-29日までの1カ月間
JPモルガンのストラテジスト、棚瀬順哉氏と斉藤郁恵氏はリポートで、為替市場での「行き過ぎた」動きや「投機的」な動き、「経済のファンダメンタルズから逸脱した」動きがあると判断すれば、財務省は再び介入に動く用意があると指摘。為替相場が動くスピードに加え、投機的な円売り主導などその性質が「介入を決定する鍵になるだろう」と付け加えた。
ただ日本の当局者はここ数週間、介入については比較的慎重な姿勢を示している。
鈴木俊一財務相は7日、為替はしっかりと注視して万全の対応を取っていくとした上で、為替介入は抑制的に行われるべきものと考えていると語った。
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「通貨当局者が円相場に見切りを付けつつあるとの確信を深めている。利回り格差は今すぐ解消するには大き過ぎ、今や米利下げが年内1回しか見込まれていないことを踏まえれば、状況が近く改善することはないだろう」と語った。