パートで「手取り15万円」です。仕事内容が正社員と同じなら、「給与」も同じになりますか?「パート・正社員」の賃金の考え方を解説
パートとして手取り15万円で正社員と変わらない仕事をしている場合、まったく同じ仕事を任されているのに正社員よりも給料が低いと不満を抱えている人もいるかもしれません。 原則として同じ仕事をしているなら正社員・非正規労働者にかかわらず待遇差を出すのが禁止されています。では、今回のケースは同一労働同一賃金の考え方に違反しているのでしょうか。 本記事では、正社員とパートで手取りが違う場合、同一労働同一賃金の観点から問題がないか解説するので、気になる方は参考にしてみてください。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
同一労働同一賃金が適用される内容
同一労働同一賃金は、同じ仕事をしているなら同じ賃金を支払うべきとの考え方です。日本では同一企業内で正規雇用・非正規労働者(アルバイト・パート・派遣)が一緒に働いているケースが多くあります。 職務内容・配置の変更範囲・その他の客観的・具体的な実態に照らし合わせて、待遇に不合理なものであってはならないのがポイントです。また、同一労働同一賃金は賃金以外にも教育訓練や福利厚生などについても対象となり、同じ内容で働いているなら同様に認めなければなりません。 原則として、正社員には賞与があるけれど非正規労働者には賞与がないなども禁止されており、任されている業務内容などで同じなら賞与などにも差をつけるのは禁止です。ただし、ここでポイントになるのは不合理な待遇差を付けるのが禁止されている一方、客観的に見て合理的な待遇差は問題ないといえます。 重要になるのは不合理な待遇差か合理的な待遇差なので、場合によっては待遇差があっても同一労働同一賃金の対象外です。 また、労使の合意なく正社員の待遇を引き下げて同一労働同一賃金にすることは適切な対応ではありません。
同一労働同一賃金の対象外になる合理的な待遇差とは
例えば、基本給は「労働者の能力又は経験に応じて支払うもの」「業績又は成果に応じて支払うもの」「勤続年数に応じて支払うもの」など、趣旨や性格に合わせて判断されています。 賞与についても、会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給するため、同一の貢献には同一の支給をして違いがあれば違いに応じた支給をしなければなりません。 パートとして手取り15万円で正社員と変わらない仕事をしている場合、本当にすべてが同一労働なら同一賃金が支払われます。しかし、正社員は現場で責任者としてトラブル対応を任されていたり、ノルマ達成の数字が与えられていたりするケースも多いです。 同じような労働をしていると見えるものの、業務内容や業務上の責任に違いがある可能性も考えられます。 正社員は自身が任されている仕事を十分に遂行できないと、昇進が認められない、懲戒処分を受けるなどの可能性もあるでしょう。また、現場においてミスが起きた際には非正規労働者が原因であっても、正社員の指示・監督下での行動として責任を負う立場ともいえます。 ほかにも、将来的に配置転換が命じられて新しい業務に従事するだけでなく、転勤などが命じられると引っ越しや単身赴任などが必要になるかもしれません。このように転勤などのリスクがある正社員に好待遇をするのは問題ないと考えられ、正社員は合理的な転勤命令であれば拒否はできません。
まとめ
同一労働同一賃金は正社員と非正規労働者の不合理な待遇差を無くすためにも重要ですが、すべてのケースにおいて適用されるわけではありません。一見すると同じように業務に携わっているようでも、実際には正社員は責任を負う立場として働いているなども考えられます。 細かく見ていけば、正社員と非正規労働者は立場が違うことも多いため、同一労働同一賃金が適用されるかは慎重に判断しなければなりません。 出典 厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部