人気イラストレーター・LAM個展レポート 初音ミク、VTuberなど“絵の弾丸”で撃ち抜かれる衝撃体験
LAMによる官能的空間 盟友Kanariaとの“記念碑”も
兎にも角にも展示作品、展示方法、空間の作り方がどれもはちゃめちゃにかっこいい。 長年、MVなどでタッグを組んできたボカロP・Kanariaさん関連の展示エリアはその最たる例の一つだ。 LAMさんが手がけてきたMVイラストが周囲を彩るサイバーパンクな空間の中、中心には複数のモニターが設置されたモニュメントが鎮座。2メートルほどの塔は、まさに2人の記念碑とも言うべき存在感を放っている。 メカニカルな世界が展開されたかと思えば、別のエリアでは和風テイストの作品たちが顔を出す。 真っ赤な彼岸花に囲まれたこの世ならざる空間には、展覧会のメインビジュアルなどオリジナルイラストがずらり。それらはどこかフェティッシュであり、官能的であり、何よりも挑発的な表情を浮かべている。 エリアの中心には、和服姿のオリジナルキャラクター「猩々緋(しょうじょうひ)」の人形が佇む。目線を合わせると、心臓を強く握られたかのような感覚を覚えるほどの美しさだ。
イラストという名の弾丸に、何度も撃ち抜かれる
展覧会に先駆けて発売された初の画集『いかづち』の冒頭で、LAMさんはイラストが持つ魅力について持論を述べている。 【画集『いかづち』はじめにより抜粋】 素晴らしいクリエイティブを浴びると、脳に雷が落ちたような衝撃が発生する。 瞳孔に焼き付くグラフィック、泣きたくなるようなエモーション。 放たれた弾丸の様に、速度を伴った衝撃で身体がバラバラに裂けてしまいそうな、痛いぐらいの多幸感。 そんな感動体験がイラストレーションにはあると信じています。 画集タイトルの“いかづち”になぞらえての言葉であると同時に、個展を訪れた人たちが体験する衝撃を予言したかのようだ。本人が「魂を込めた」と語る「千客万雷」では、それほどの体験が待っている。 ここまで紹介した以外にも、ホロライブの兎田ぺこらさんやさくらみこさん、星街すいせいさん、にじさんじの葛葉さんや叶さん、そしてLAMさんがデザインを手がけたVTuberたちなど、VTuber関連だけでも膨大なイラストが展示されている。 テキストでは表現し尽くせない圧巻の展示内容。その情報量は“浴びる”という表現がふさわしい。イラストレーションシーンの最前線を走るLAMさんが放つエネルギーを、ただひたすらに浴びまくる、そして撃ち抜かれる──そんな展覧会だ。 個展「千客万雷」は、12月2日(月)までアニメイト池袋本店8FのSpace Galleriaで開催中。2025年1月10日(金)から2月3日(月)までは、アニメイト大阪日本橋別館3FのSpace Gratusで開催される。
恩田雄多