なぜ“風間ダービー“は白熱の名勝負になったのか?中村憲剛「これがファンの求めているサッカー」
自身のイズムの浸透に加えて、必要に応じてクラブ側も積極的かつ迅速な補強に動いた相乗効果で、破壊力はあるものの安定感も欠き、大型連勝と大型連敗をマークした昨シーズンから確実に変貌を遂げつつある。昨年9月のフロンターレ戦で先発するもプレッシャーに屈するかたちで、先制点となるオウンゴールを献上していたMF和泉竜司(25)は、昨シーズンとの違いをメンタル面に求める。 「自分たち次第で試合も決まると、あらためて感じています。勝利を目指していたのでもったいなかったけど、最低限、アウェイで勝ち点を拾うこともできた。自分たちがやろうとしていることのレベルをさらにあげて、継続していくだけだと思っています」 場所を豊田スタジアムに変えて、両者は8月10日に対峙する。シーズンが中盤戦から終盤戦にさしかかる時期。風間イズムを発展させるフロンターレ、風間イズムの薫陶をいままさに色濃く受けているグランパスのすべての選手の思いを代表するように、中村が再戦へ向けて力を込める。 「そのころには全員がもうちょっと質をあげられるように。一人ひとりがミスをしないことを求めていく作業をしていけば、クオリティーは天井なく上がっていくし、その一端を今日見せられたと思う」 連勝は止まったものの、フロンターレも8戦連続無敗(6勝2分け)で暫定3位に浮上した。ともに攻撃的なスタイルを志向する両雄が現状のままの曲線を描き続ければ、真夏に待つ再戦はシーズンの覇権を占う大一番になるかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)