あらためて語り尽くす、ダルビッシュ有投手の偉大さ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第136回
さらなる魅力は、投球がストーリーになっていることです。変化球主体だったドジャース戦でも、一球のストレートが次への布石になっていたり。自分の投球で試合を"物語"にして、その中の1場面を演じる。そうとさえ思えるのです。同じ球種でも、球速や曲がり幅なども変えて投げ分けるので、相手からしたらどんな球がくるのかまったく想像がつかないのではないでしょうか。 たくさんの日本人選手が海を渡っている今、完全にメジャーリーグは日常生活の中に定着しました。一方で、私のような熱心なファンは別として、すべての選手の活躍を追うことが難しくなったかもしれません。 ただ、そんな方にこそ、ダルビッシュ投手の投球を1試合通して見ていただきたいです。例えるならば、パワフルプロ野球ですべてがSクラスの選手。速球派でもあり、技巧派でもある。速球でストライクを取れて、変化球で相手を翻弄することもできる。 メジャーで特別な選手のひとりと認められていて、強豪パドレスの中でもリーダー格。2年前には、パドレスの選手たちが歩くダルビッシュ投手の後ろについて、その所作をマネするイタズラを仕掛けたことがSNSで話題になりましたね。ダルビッシュ投手に対するチームメイトの深いリスペクトを感じました。 私の周囲にいる熱心な野球ファンは、もれなくダルビッシュ投手が大好きです。番組でご一緒していた黒木知宏さんも、"ダルビッシュ愛"に溢れたひとり。黒木さん曰く、「変化球、まっすぐ、配球、プロとしてのありかた、すべてが超一流です」とのこと。自身も一流の投手だった黒木さんが、ダルビッシュ投手について語る時だけ少し早口で声が高くなるのを見るたび、その偉大さを痛感するのです。 大谷選手が注目を集めるのはもちろんですが、あらためてダルビッシュ投手のすごさも再確認しよう、というお話でした。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作