土砂崩れ災害現場の活動を聞く
蒲郡市消防署の梶署長
愛知県蒲郡市竹谷町大久古で8月27日夜に発生、民家にいた5人のうち3人が亡くなった土砂崩れ災害で、市消防本部や市外の消防本部など多くの人が救助活動に携わった。蒲郡市消防署の梶哲男署長に当時の様子などを聞いた。【林大二朗】 27日夜、40代女性から119番を受け、水竹町にある消防署から消防車両4台と12人が現場に向かった。梶署長によると、当初は蒲郡消防だけで活動を考えていたが、現場から土砂の量や倒木などの状況報告が入り始めると、応援が必要だと判断した。 蒲郡消防はすぐに「東三河地区消防相互応援協定」で東三河4市の消防本部に要請。同時に「県内広域消防相互応援協定」に基づいて、名古屋市消防局に情報提供したことがきっかけで尾張や西三河の消防も応援に駆け付けた。 現場は新たな土砂の流出で2次災害が起きる危険性を警戒しながら、「5人全員を救い出したい、助けだしたい」との思いで雨が降り続ける中、チェーンソーや手作業で活動を続けた。 梶署長は消防署で後方支援として、無線や現場から送られてくる画像の情報を参考に、さらなる応援が必要なかの判断をしていた。梶署長「緊張感が張り詰める中で、時間との勝負だと思いながら、すべての人が長時間にわたり活動をしていた」と話す。
日々の連携強化に向けた取り組み
現場では声が聞こえる場所を中心に救出作業を進め、28日午前10時頃に40代の次女が助け出されると、現場の励みとなった。希望を持って残り3人の救出を一生懸命に進めた。翌未明までに運び出すことができたが、帰らぬ人となってしまった。 蒲郡消防は日頃から、自衛隊や警察、周辺自治体との連携強化に向けた訓練に取り組んでいる。このことが生かされ、迅速かつ的確な活動により、発生から27時間で全員を発見したとしている。 梶署長は「3人のご冥福をお祈りします。今回の土砂崩れによる災害は決して忘れません」と話した。また「県内の消防本部をはじめ、警察や自衛隊など多くの関係機関の協力で活動できた。私たちも他市からの応援要請があれば最大限、対応したい」と述べた。
東愛知新聞社