「冷たい水を飲むと代謝が上がる」は本当なの? 長年にわたって信じられてきた「冷水の都市伝説」を斬る
TikTokで最新のウェルネス情報を追っているなら、今話題の「アイスハック(#icehack)」 についてすでにご存知かもしれない。 【写真】痩せやすい体に!代謝をサポートする3つの方法 このトレンド支持者は、冷たい水を飲むことが、体脂肪を減らす秘訣だと力説している。しかも、食事や運動の習慣を変える必要は一切ないとか。 この紹介文を読んでなんだか怪しい......と察知したなら、あなたの感覚は正しい。 このバイラル動画は、怪しげなダイエットサプリメントを宣伝するインフルエンサー主導のマーケティングキャンペーンの一部であったことがのちに明らかになっている。どうやら、アメリカの製造業者は、このサプリメントにカロリーを燃焼させるエンジンを始動させる効果があると、虚偽の主張をしていた模様。 そんな怪しいサプリメントはさておき、冷たい水を飲むことが効率的な脂肪燃焼につながるという長年の説には、実際に根拠があるのだろうか? 2003年の研究では、常温の水500mlを飲むことで、1時間あたりのカロリー消費量が30%増加することが判明した。 その理由は、体が水の温度を37°Cに上げるためにエネルギーを消費するからだという。 だが、あまりに都合の良い話は往々にして真実でないことが多いもの。この研究結果にも、科学界からは疑念の声が上がった。その後行われた綿密な調査では、カロリー消費量の測定方法に問題があったことが明らかに。2006年のより厳密な研究では、冷たい水(3°C)を飲むことで増加するエネルギー消費量はわずか5%、1杯あたりに消費されるカロリーはほんの4kcalに過ぎないことが分かっている。 つまり、たとえコップ8杯の氷水を毎日飲んだとしても、大きな脂肪減少につながることはないということ。 実際には「冷水を飲むよりも冷水に浸かるほうが効果的」という確たる証拠が増えている。冷たいシャワーや冬の水泳などがその一例。 冷水に浸かると、幸せホルモンが分泌されるおかげで、気分が向上するというメリットはともかく、脂肪組織が熱を生み出す褐色脂肪組織へと変化して、代謝の健康によい影響をもたらす可能性が複数の研究で示されている。 一部の研究では、定期的に冷水に晒されることでインスリン感受性が高まり、より効率的に血糖値を整えるのに役立つ可能性があるとのこと。 氷水を飲んだからといって、30代で代謝が魔法のように活発になることはないものの、適切な水分補給は、体の正常な代謝機能を支えるうえで不可欠。 目指すべきは、1日約2ℓの水を飲むこと! アルコール以外の飲み物はすべてカウントされるが、砂糖を含んでいない水が水分補給にはやっぱり最適。ちなみに水のソムリエによると、風味を楽しむには常温で飲むのがベストで、運動中には冷たい水が望ましいそう。研究でも、体をクールダウンさせるのに効果的であることが示されている。 ※この記事はイギリス版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。