【鳴尾記念回顧】高速決着で勝ち負け演じたベテラン勢 初の中3週で勝負に出たヨーホーレイク陣営
高速決着で勝ち負けを演じたベテラン2頭
レース直前に1番人気ロードデルレイが馬体検査の末、競走除外になった。我々は先週学んだばかりだ。無理をさせなければ、必ず次に馬は応えてくれる。奇しくも東京メインのアハルテケSは前走オアシスSを競走除外になったビヨンドザファザーが7番人気で勝利した。深刻なケガではなく、軽度のうちに競走を回避し、次につなげる大切さを思い知る2週間となった。 【安田記念2024 推奨馬】東京コースは複勝率50%で安定感◎! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 1番人気が競走除外になり、波乱の予感もあったが、勝ったのはかわって1番人気になったヨーホーレイク。2着ボッケリーニ、3着エアサージュと平穏な結末となった。その要因はまずは馬場だろう。7週目に突入した京都の芝は依然として速い時計が出る。鳴尾記念の決着時計も1:57.2と速く、そもそも軽い馬場に対応できないと好走にはつながらない。こうなると最後は実績馬と先行勢の世界になる。納得の結末といえよう。 京都芝2000mで1:57.5以下が記録されたのは1986年以降、わずか5例。鳴尾記念の1:57.2は4番目に速い。5例中2レースは3歳牝馬の秋華賞で、残りは準オープンとオープン特別。勝ち馬は4歳馬だった。鳴尾記念は6歳ヨーホーレイク、8歳ボッケリーニ、6歳エアサージュだから、驚く。牧場との連携、調教技術の向上、厩舎力の発展がこの結果に集約される。息長く走れる馬づくりは、長きにわたる馬生にとっても、我々ファンにとってもありがたい。騎手もベテランが盛りあげてくれたが、馬もまたしかり。馴染みの馬が長く活躍してくれれば、馬券を買う側だって付き合いやすい。そろそろ年齢でデータを区切る時代ではないと反省するばかり。
勝負に出た中3週
ヨーホーレイクは2年前の日経新春杯以来、約2年5カ月ぶりに重賞2勝目をあげた。POGではお馴染みの母クロウキャニオンの血統は、クラシックシーズンで頼りになるので、毎年、POG指名で注目を集める。2007年産キラウエアから19年産ダンテスヴューまで13頭連続で2歳6月から3歳5月末までに1勝以上をあげた。これほど産駒が安定して走る母馬はなかなかいない。私と同じくPOGでお世話になった方も多いだろう。今年も2歳にキャニオンデシェイという馬がいる。ここ2年は勝ちあがっていないが、どう出るか。 馬主はヨーホーレイクも含め、ずっと金子真人HD。母クロウキャニオンも金子真人氏の所有馬で、ヨーホーレイクは父ディープインパクトまで同じ勝負服。さらにいえば、ボッケリーニも父キングカメハメハ、母ポップコーンジャズと金子真人氏が所有しており、金子血統同士でのゴール前の攻防だった。こんな表現はもう何度目だろうか。つくづく羨ましい。 かつてクロウキャニオンの血統は3歳春まではいいが、その後、尻つぼみしてしまう面があった。ちょっと早熟っぽさも特徴だっただけに、ヨーホーレイクが6歳で重賞2勝目をあげたのは価値がある。ダービー後に半年以上、さらに約2年2カ月の長期休養があり、ケガを乗り越えてきた。大きなケガをしても、ターフに戻ってこられる。これも息長く活躍できる大きな要因のひとつ。獣医学の進歩もまた、近代競馬の発展に欠かせない。もうひとつ、ヨーホーレイクが中3週で出走したのは鳴尾記念がはじめて。中5週以上とゆったりとした間隔を守ってきたことも大きい。クロウキャニオン産駒は脚元のケアが要であり、それをよく知る陣営の勝利でもある。だからこそ、中3週での出走は勝負に出たともいえる。