仮面の神々に平穏願う アマメハギ、二重被災の門前・七浦で
能登半島地震と奥能登豪雨で二重被災した輪島市門前町の七浦(しつら)地区で2日、伝統行事「アマメハギ」が行われた。鬼などの面をつけた男衆が「親の言うこと聞くかーっ」と声を張り上げて子どもたちを驚かし、住民は災厄を払う異形の神々に平穏無事を願った。 七浦第1仮設住宅団地では、金沢市から帰省中の山本美咲さん(25)が、生後11カ月の長男流季(るき)ちゃんを抱いて男衆を迎えた。恐ろしい面をつけた男衆が雄たけびを上げると、泣き叫ぶ流季ちゃん。1年前、おなかの中の流季ちゃんと門前町内の夫の実家で車中泊を余儀なくされた美咲さんは「強くたくましく育ってほしい」と願いを込めた。 美咲さんの母、奥村八英子(やえこ)さん(60)は昨年、門前町皆月の自宅が地震で半壊して避難。7月に仮設住宅に入ったが、9月の豪雨で再び避難生活を強いられた。「今年は穏やかであってほしい」と祈るように話した。 アマメハギは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つ。火鉢や囲炉裏に長時間あたるとできる「火だこ」(アマメ)をノミや槌ではがすアマメハギが家々を訪れ、住民の怠け心をいさめる。皆月青年会の会員にOBを加え、20代後半~40代前半の8人が約40戸を回った。