クラシックカーのような美しきサイドカー!その「中身」はロイヤルエンフィールド・スーパーメテオ650だった
目指したのはビンテージカーのような雰囲気
同様にサイドカーのボディもコンパクトさを追求しました。ハーレーダビッドソン用のサイドカーボディは通常、全長が1800mm以上ありますが、それをスーパーメテオ650に合わせたとしたら、バイクの車体に対してサイドカーボディが大きすぎる。 そのあたりを踏まえて、カーのボディは全長1700mm以下にしてデザインを考えました。もちろん大人が余裕で乗ることができる車内スペースも確保して、です。 イメージしたのは、オランダの木靴の「Klomp」(クロンプ)やビンテージのサイドカーで、それをアタマの中でミックスしました。そこから、まずはスタイロフォーム(*)を何枚も貼り合わせて大きなブロックを作り、それを手で削ってデザインしていき、そのできあがった原型にファイバーグラスを貼り込んで作っていきました。 *スタイロフォームとはポリウレタン樹脂の発泡材。断熱材などに用いられることが多い。 サイドカー用のスプリングは軽トラック用のリーフスプリングとバイク用のダンパー付きスプリングサスペンションを組み合わせました。そのサスペンションをセットするために、アーチ状のフレームを造ったことも、サイドカー側のアクセントになったと思います。 サイドカーにはいろいろなタイプがあります。サイドカーのフレームはリジッドでボディをフローティングするパターンや、フレームにサスペンションを装備するパターンなど。 チャレンジャーはシンプルに、サスペンション付きフレームにしました。低いバイクの車体に合わせてカーを装着したかったので、バイクの車体に対するカーの車体の高さや前後位置は吟味しました。クラシカルな雰囲気を演出するためダンパー付きスプリングサスペンションはすべてカバータイプとし、そのサスペンションカバーも製作しています。 ちなみにバイクだけでも走行できるよう。カーを装着するためのステーはすべて取り外すことができます。 全体ではビンテージカーのような雰囲気を造りたかったので、3つのホイールはすべて大径の60本スポークホイールを採用しました。 フロントホイールは21インチ。スポークの存在感を高めるため、フロントブレーキはありません。ですが、サイドカーは制動力がとても重要なので、リヤをダブルディスク化し、ブレーキレバーの操作でリヤの右側が作動。ブレーキペダルは左側ディスクとカー側のブレーキがリンクして作動する仕組みとなっています。
ロイヤルエンフィールドの持つカスタムの可能性
ロイヤルエンフィールドのバイクはカスタムしやすかったと思います。エンジンそのものの造形が良く、また配線などもシンプル。ハンドルスイッチ類などの細かいパーツのデザインもすごく良かった。 このチャレンジャーでもハンドル周りの一部やスイッチ類、メーターやテールライト、エキゾーストパイプやサイレンサーの一部はスタンダードを流用しているんです。 インタビュー●河野正士 写真●安井宏光 まとめ●上野茂岐