中学受験が子どもにとって「よかった」体験になるために、親がすべき3つのこと。“滑り止め”の言葉は使わない
過去最高の盛り上がりを見せる、首都圏の中学受験ブーム。小学3年生の終わりになれば入塾し、私学を目指すという流れがある一方で、「そもそも子どもにとって、受験は本当にプラスになるの?」という声も聞こえてきます。そこで、最新受験事情に詳しく、元塾講師で中学入試の過去問題集を出版する「声の教育社」の常務取締役・後藤和浩さんに「親も子も幸せになる受験」のヒントを伺いました。
まずは、低学年のうちに「学校見学」から始めるとスムーズ
かつては一部の層だけのものと思われた中学受験も、今や首都圏に住む小学6年生の5人に1人が挑戦する時代に。短期間の準備で挑戦する「ゆる受験」組も出てくるなど、以前よりぐっとハードルが低くなった印象を受けます。 しかし、「みんなが受験するからなんとなく…」と塾に入っても、なかなかモチベーションを保つのは難しいもの。親子で前向きに受験勉強に取り組むには、「スタートが肝心」と後藤さんは話します。 「『なぜ勉強しなければならないのか』が分からないままがんばるというのは、子どもにとってとても難しいこと。また、目的がはっきりしていないと、日々流れてくる大量の受験情報のなかで、親も右往左往してしまいます。ですから、まずは子どもの『この学校に入りたい』という気持ちを、受験勉強を始めるきっかけにしてください」(後藤さん、以下同) とはいえ、小学生自ら「受験したい」と思い立つのは、なかなか珍しいことのように思えます。そこで後藤さんがおすすめするのが、入塾よりなにより先に、まずは通学圏内の文化祭に子どもを連れて行ってみること。 自身の長男も、文化祭で訪れた中学に猛烈に憧れて受験勉強を始め、入塾当初は偏差値でいうと10ポイント以上もビハインドがあった第一志望校に、大逆転合格したといいます。 「通常、学校見学は小学4、5年生あたりから行うご家庭が多いのですが、偏差値や周りの声に惑わされない低学年のうちに、まずは親が好印象をもっている学校の文化祭へとお子さんを誘い出してみてください。そこで『きれいな校舎だな』『食堂があるなんてすごい』『なんだか楽しそう!』などという憧れ感を抱けば大成功。中学受験を始める最大の動機づけになります」 ちなみに、初めて見に行った学校が第一志望になることが多いので、親が行かせたいと強く願う学校があるのであれば、そこへ誘導するのもアリだといいます。 「また、たとえ成績が思うように伸びなかったとしても、子どもがいちばん行きたいと思う学校はぜひ受けさせてあげてください。それが、最後まで走り抜く原動力となります」