「ブリストル研究所」って何? 「ワクイミュージアム」で知られる通人・涌井清春氏が語る「水墨画の老人」の境地とは【special interview】
クルマ趣味という大洋の片隅でポツンと竹竿を出す老人が、思い描く最後の姿
そして締めくくりとして、ブリストル研究所のあり方について尋ねてみた。 「ワクイミュージアムの前身である“くるま道楽”を開いた1980年代末ごろから、私は生来のコレクター気質で、周囲からはクルマを売りたがらないシャイな店、お茶でもしながら、ただお客さんと話しているだけの店……、なんて言われてました(笑) 今のブリストル研究所についても、ブリストルを売りたいというよりは、ブリストルを掘り下げて、できれば少し集めながら、ディーラーともいえないようなかたちで、ひっそりブリストルのある個人事務所を構えたい、との思いからスタートしました。だから“これからブリストルを広めて売るぞ!”というのは、ちょっと違うんですね。 商売でいうなら、ブリストルなんておそらく勝算はありませんよ。それでもクルマ趣味の多様で茫洋とした広い海に、老人が片隅でポツンと竹竿を出している、まるで水墨画の老人のようなイメージで自分を思い描いています。魚を釣ることは目的ではなく、片隅でポツンと竿を出していることが、おそらく今の私がしたいこと、趣味人として描く最後の姿なのです。 もちろん、これまで人生をともにしてきたロールス・ロイスとベントレーに、愛着がなくなったわけではありません。ただ、極東で古いブリストルを見つめている人間がいる、という遠い灯台のような存在が、遅ればせながら今からでもあってもいいのではないか……? と考えるようになったのです」 そんな涌井氏の思いのもとに開設されたブリストル研究所。もしもこの記事を見て、少しでもご興味お持ちいただける方がいらっしゃれば、ぜひともご遠慮なくコンタクトを取っていただきたい……、と切に願うのである。 ■ブリストル研究所 一般開業日:(ほぼ)毎週日曜日 TEL:03-5801-0213(予約制) https://www.mk-wakui.com
武田公実
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