ヒズボラ新最高指導者にカセム師、イスラエルが暗殺のナスララ師後任
(ブルームバーグ): レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラは29日、ほぼ1カ月前にイスラエルの空爆で殺害されたナスララ師の後継として、ナイム・カセム師を選んだと、通信アプリ「テレグラム」で発表した。
同組織の意思決定機関である評議会が、1991年以来ナンバー2を務めてきたカセム師を最高指導者とすることで合意した。
70歳代前半で、化学教師だったカセム師は、ヒズボラ最高指導者の有力候補ではなかった。前最高指導者ナスララ師のいとこのハシェム・サフィエディン師が長く後継者とみられていたが、イスラエルのベイルート空爆で同師が死亡したことをヒズボラは先週確認した。
ロンドンに拠点を置くシンクタンク、チャタム・ハウスのリナ・ハティブ研究員は、カセム師の選出は「ヒズボラとその後ろ盾であるイランの両方にとって、変化よりも継続性を意味する」と述べ、ヒズボラの構成員には安心感を、反対者には抵抗を示すメッセージになるとの見方を示した。
米国をはじめ多くの国々からテロ組織と指定されているヒズボラは、国家としてのイスラエル破壊を目指している。昨年10月にパレスチナ自治区ガザでの戦争が始まって以来、同地区を拠点とするイスラム組織ハマスとの連帯を示し、イスラエルにミサイルや無人機(ドローン)による攻撃を続けている。
イスラエルは先月、ヒズボラに対する攻撃を強化。同組織の幹部の多くを暗殺し、レバノン南部に地上部隊も送り込んで拠点を攻撃した。
カセム師は最近までベイルートを拠点にしていたが、イスラエルの空爆から逃れるため拠点を移しているかどうかは定かではない。
原題:Hezbollah Replaces Slain Leader Nasrallah With Deputy Qasem (1)(抜粋)
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Omar Tamo