太陽光発電施設の建設でガイドライン制定を 長野県に地域住民ら要望
建設に着手する前に対応できるガイドラインを
太陽光発電施設の建設は県外の企業などが計画。飯沼自治会が立ち上げたメガソーラー設置反対特別協議会の志津田和博会長によると、2013(平成25)年に表面化した飯沼地区の建設計画は、生田飯沼地籍の山林約20ヘクタールにパネル4万4000枚を設け、発電量は10メガワット。他は東山城下地区の諏訪形・御所地籍が1.65ヘクタールで600キロワット、町組自治会の長瀬金井地籍は1.4ヘクタールで700キロワットの見込み。 住民側は「発電事業者が山林などを買収してしまってから建設計画が表面化して問題がこじれることが多い。事業者が事前に建設予定地の規制内容などをガイドラインで知った上で検討するようにしなければトラブルは避けられない」と事業者向けのガイドラインの制定を主張し、県の対応を求めました。 志津田会長は「大型の太陽光発電施設は再生エネルギー活用の政策によって建築基準法や環境アセスの関係法令の適用除外がなされたために環境保全や災害防止に関する規制が大幅に緩められ、建設後に災害などの問題が生じるおそれが大きい。太陽光発電に反対しているわけではない」と話しました。 この日、住民側は「山梨県のガイドラインを長野県も参考にすべきではないか」と県側に求めました。同会長によると山梨県のガイドラインは出力10キロワット以上の太陽光発電施設の事業者に対し「立地を避けるべきエリア」「立地に慎重な検討が必要なエリア」を具体的に示し、適正導入のための県独自のフローチャートを示しています。
全国に2057件ある「メガソーラー」
2015年に長野県は、太陽光発電施設の問題で住民らの訴えを受けて環境アセス関係の条例を改正、一定規模以上の太陽光発電所を条例の対象にしています。この日の要望書では「これまでの県の対応に感謝したい」と評価した上で、さらに具体的な対策としてガイドラインの制定を求めたものです。 環境省によると発電量1メガワット以上のメガソーラーと言われる太陽光発電施設は全国に2057件あり、1メガワットの発電規模の施設に必要な敷地は1.57ヘクタールと見込まれています。大規模な発電施設の建設に伴い、景観や動植物、生活環境への影響、土地の造成や樹木の伐採に伴う地形、地質、生態系などへの影響が指摘されているとしています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説