米国に舐められたくない金正恩がたくらむ核実験、踏み切れば「北の核」を容認しない習近平主席との間には深い亀裂
■ ロシアによる技術提供のたまもの 10月31日午前7時13分、8時5分、9時59分と、防衛省が3度にわたって緊急発表した。そのうち3度目の発表は、以下の通りだ。 【写真】10月31日、最新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲19」型の発射直後の様子をじっと見守る金正恩朝鮮労働党総書記と娘ジュエ氏のバックショット <北朝鮮は本日7時11分頃、平壌近郊から、少なくとも1発のICBM級弾道ミサイルを、北東方向に向けて発射しました。詳細については現在日米韓で緊密に連携して分析中ですが、発射された弾道ミサイルは、過去最長の約86分飛翔し8時37分頃、北海道の奥尻島の西方約200kmの日本海(我が国の排他的経済水域(EEZ)外)に落下したものと推定されます。飛翔距離は約1,000km、また最高高度は過去最高で約7,000kmを超えると推定されます……> 北朝鮮が、またもやミサイル実験である。10月18日以来、約2週間ぶりで、今年すでに12回目だ。しかも、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射は、今年初めてである。石破茂首相は、直ちに国家安全保障会議を招集。日本海で起こった状況を確認し、対応を協議した。 今回のICBM発射の特徴は、ロフテッド方式(通常より高度を上げて故意に飛距離を短くする方式)で、過去最高の約7000kmまで高度を上げた点にある。飛行時間も1時間26分と、過去最長だった。 日本海に落下したが、日本のEEZのすぐ外側に落下させるなど、飛行技術の向上が顕著である。おそらくロシアから、最新技術の提供を受けているものと思われる。
11月1日付『労働新聞』は、発射したのが新型の大陸間弾道ミサイル「火星砲-19」だったこと、最大定点高度7687.5km、飛距離1001.2km、飛行時間5156秒(1時間25分56秒)だったこと、金正恩委員長と娘の珠愛(ジュエ)氏が発射に立ち会ったことなどを伝えた。 ■ トランプ当選なら「ドカーン!」か ここからは、私見だ。北朝鮮の独裁者・金正恩国務委員長は、11月に、もっと恐ろしいことをたくらんでいる可能性がある。 「ドナルド・トランプよ、大統領選挙の勝利おめでとう。4回目の再会を心待ちにしているぞ!」 ドカーン!! 金正恩委員長は、こんな感じで7回目の核実験を強行するのではないだろうか。つまり、来週5日のアメリカ大統領選で、トランプ前大統領が勝利したら、核実験にゴーサインを出すということだ。実際、すでに豊渓里(プンゲリ)の実験場では、実験の準備を終えていると、韓国政府は伝えている。 では、もしもアメリカ大統領選で、金正恩委員長を「独裁者」と呼んではばからないカマラ・ハリス副大統領が勝利したなら? それなら、おそらく核実験は見合わせるのではないか。 現在のジョー・バイデン政権は、この4年弱、北朝鮮に対して「戦略的忍耐」(strategic patience)と呼ばれる方針をとってきた。これは、自ら副大統領を務めたバラク・オバマ政権の方針を踏襲したもので、「戦略として我慢する」、すなわち北朝鮮を無視するということだ。