絶対王者・近江がコールド負け! 綾羽の果敢な攻撃に「完全にやられてしまった」【24年夏・滋賀大会】
<第106回全国高等学校野球選手権滋賀:綾羽9-2近江(7回コールド)>25日◇準決勝◇マイネットスタジアム皇子山 【トーナメント表】滋賀大会 試合結果 6連覇を狙った近江が綾羽に7回コールド負け。夏の滋賀大会での敗戦は2017年夏決勝の彦根東戦以来となった。 勝った綾羽は近江に敗れて準優勝した18年以来、6年ぶりの決勝進出。近江に公式戦で勝利したのはこれが初めてだ。 草津市に所在する綾羽は1965年創立の私立校。野球部は99年に創部した。2004年から野球部の本格的な強化に乗り出し、その年に入学したのが現監督の千代 純平である。 05年秋の近畿大会に出場して以来、県内では上位の常連になっていたが、甲子園にはまだ手が届いていない。大きな壁として立ち塞がっていたのが近江だった。 私立ではあるが、寮がなく、選手は全員が自宅から通う。そのため、多くが滋賀県出身の選手だ。 「滋賀県で野球をやっていて、近江さんが憧れの一つでありながら、自分たちはそういう強い相手を倒して甲子園に行きたいという気持ちを持った地元の選手が来てくれている」と千代監督は言う。 今年のチームは秋が2回戦敗退、春が3回戦敗退と上位に進めておらず、絶対的な選手も不在。だが、それがプラスに働いた。「歯車が上手く噛み合って、攻撃の幅もそのおかげで広げることができました。自分の打席でやることに全員が集中できていたので、そこが大きかったと思います」と千代監督はこの試合の勝因を語っている。 絶対的王者を前に綾羽はチャレンジャーらしく果敢に攻め続けた。1回表には一死一、二塁から重盗で二、三塁にチャンスを拡大。4番・横井川 友輝(3年)の中前2点適時打で先制点を挙げた。 3回表には主将の楠橋 琉生(3年)が二盗を試みてアウトになったが、「攻めていかないことには勝機が生まれない」(千代監督)とその後も積極的に盗塁やエンドランを敢行。1点リードの5回表には一死一、三塁から盗塁で二、三塁とすると、2番・北邑 流星(3年)がレフトに2点適時三塁打を放ち、リードを3点に広げた。 7回表には7安打を浴びせて5得点。最速143キロ右腕のエース・武村 晴輝(3年)は「テンポ良く投げていくことができた」と相手の反撃を2点に留めた。 綾羽の戦いぶりには近江の多賀 章仁監督も脱帽。「綾羽の選手たちがやれることを一生懸命やっていて、うちがやらないといけないことを完全にやられてしまったなという感じです」と認めるほかなかった。 「2018年の決勝で負けてからずっと近江さんの連覇が続いていたので、何とかそれを自分の手で止めたいなと思いながらやってきて、今日、そういう結果が得られて良かったです。近江さんには何度もチャレンジしたんですけど、1勝もできずに来て、今日、そういう壁を一つ選手たちが越えてくれたのは誇らしく思います」と話した千代監督。歴代の卒業生が乗り越えられなかった近江の壁を乗り越え、後は甲子園初出場を掴み取るだけだ。 決勝の相手は春に敗れた滋賀学園。「挑戦者という気持ちを持って試合をやっていきたいと思います。攻めの野球を最後まで貫きたいです」と楠橋は決勝に向けて力強く語った。近江を下した自信を武器に27日の決勝に挑む。 連覇が途切れた近江はエースの西山 恒誠(3年)が右肘の怪我でベンチ外。中心選手不在の影響はあまりにも痛かった。 多賀監督は「本当に申し訳ない」と3年生に対して謝罪の意を示し、「絶対忘れられない敗戦だと思いますし、この敗戦を活かして、力強く這い上がってほしいと思います」とエールを送った。 6連覇とはならなかったが、1年生でスタメンに名を連ねた吉田 大翼や箕浦 太士など有望な下級生が多く残る。この悔しさをバネにより強いチームを作ってくることだろう。