ジェフ・ベゾスはなぜ「PowerPoint使用禁止」を命じたのか。その背景にあるAmazonの哲学
4. 複雑なトピックを単純化するのにメタファーを活用する
ベゾス氏は、Amazonという社名を、世界最大の川にちなんで名付けました。これは意図的なもので、考え抜かれたメタファーです。 というのもアマゾン川は、ほかの川より多少大きいというレベルではなく、その流量は2位から7位のすべての川の合計を上回っています。ベゾス氏によれば、「ほかを大きく引き離している」川なのです。 メタファー(2つの無関係なものを比較し、結びつける表現方法)を、ベゾス氏ほど巧みに使いこなすビジネスリーダーは、ほとんどいません。 同氏は、Amazonの成長エネルギーとなるビジネスモデル「フライホイール(弾み車)効果」を編みだし、同社を巨大企業へと成長させる種をまきました。 さらに、ツー・ピザ・チーム(5~10人で構成される、2枚のピザで足りるくらいの小規模なチーム)という概念をつくり出し、「カネではなくミッションによって動く人材」を雇いました。しかも、いま挙げたメタファーは、氷山の一角にすぎません。 メタファーは、私たちの会話の中に浸透します。人は、新しいアイデアを耳にすると、脳にスイッチが入ります。 オンライン書店としてスタートしたAmazonは、今では全世界で3億5000万点の商品を販売する巨大なインターネット小売サイトに成長しました。 けれども、ベゾス氏が「世界最高のセールスマン」であるのは、Amazonが、あらゆる人に、あらゆるものを売っているからではありません。 同氏が世界最高のセールスマンであるのは、商品ではなく夢を売っているからです。それこそが、すべての違いを生み出しているポイントなのです。 この記事は、カーマイン・ガロ氏が著した『The Bezos Blueprint Communication Secrets of the World's Greatest Salesman(原題)』(ベゾスの青写真:世界最高のセールスマンが明かすコミュニケーションの秘訣)からの抜粋です。 St. Martin's Publishing Group.の許可を得て、ここに転載します。 ──2023年1月16日の記事を再編集のうえ、再掲しています。 訳: 長谷睦(ガリレオ) Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2022 Mansueto Ventures LLC.
ライフハッカー・ジャパン編集部