TSMCとも連携するソニー半導体事業の勝ち筋。CFOが語る投資のロジック
ソニーグループの屋台骨となっている事業の1つが、ソニーセミコンダクタソリューションズグループ(以下SSS)が手がける半導体事業だ。 【全画像をみる】TSMCとも連携するソニー半導体事業の勝ち筋。CFOが語る投資のロジック 中でもデジタルカメラや車載センサーなどを製造するイメージセンサー事業には大規模投資が必須であり、ソニーグループ自体の経営にも大きく関わってくる。 SSSは2024年5月末、熊本県合志市にイメージセンサーの新工場を建設すると発表。10月には工事建屋の建設に着手し、台湾の半導体メーカー・TSMCとの関係も深い。 ソニーグループの要となる事業への投資判断は、どんなプロセスで決まっていくのか。キーパーソンであるSSSのCFO(最高財務責任者)の高野康浩氏に聞いた。
SSSはなぜ熊本に工場を作ったのか
SSSは日本国内に複数の工場を持っている。 製造会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングが本社機能を持っているが、現在最も大きな規模となっているのが、熊本県にある「熊本テクノロジーセンター」だ。 さらに規模拡大のために建設を進めるのが、5月に発表された熊本県合志市の新工場だ。熊本を選んだ理由を、高野CFOは次のように説明する。 「半導体はエンジニアリングリソースが集積した場所で物事を進めなくてはなりません。既存のファブ(施設)に近いところが立ち上げやすく、熊本が一番適切と判断しました。 それに加え、行政側のサポートが期待できることも含め、多角的に判断しました」(高野CFO) 現状、建設に着手しているのはあくまで建屋だ。工場自体にどんな設備を入れ、どんなイメージセンサーを作るかは「検討を進めているところ」(高野CFO)だという。 「結局問題は、設備のキャパシティがどれくらいで埋まってしまうのか、という点。全部埋まってしまえば次の手が打てなくなるので、実際にやるやらないは別にして、常に新工場の可能性は考えています」(高野CFO) 今回の熊本に関しても「少なくともこういうサイズのファブ(製造工場)を用意しなければいけない」(高野CFO)という検討課題があり、その中で条件を満たす場所として熊本県合志市が選ばれた。 前述したように、現状は工場建屋を建設している段階。前倒しでの施工と言えるのだが、これにも事情がある。 「職人さんの数が限られている中で、1番短い工期で効率よく作れるタイミングで用意しておくべき」(高野CFO)という判断からだ。