生涯健脚でマイ防災力アップを 大経大教授「いざというときの自信に」
5時間、20キロ歩けますか?──。大阪経済大学(大阪市東淀川区)が市民が歩く力を養うことで災害に強いまちづくりをめざす防災プロジェクト「OSAKA5GO!WALK」を12月に開催する。市民参加型ウォーキングは健康や観光促進と連動するケースが多い中、5時間歩ける健脚を養成して予期せぬ災害発生に備えるという新しい視点を導入。プロジェクトを企画した同大学人間科学部の若吉浩二教授は「生涯健脚でマイ防災力アップを」と話している。 津波避難の第一歩とは──南海トラフなどの巨大地震に備えて
帰宅困難時も5時間歩ければ自宅へ帰れる
大経大は今年1月、地元東淀川区と「災害に強いまちづくりに関する連携協定」を締結。プロジェクトは協定の一環として企画され、市民が参加するウォークやシンポジウムなどで構成。ウォークは災害時避難所でもある大学キャンパスをスタートおよびゴール地点として、区内の防災施設や名所を辿りながら歩く。 体力などに応じて、5キロ、10キロ、20キロの3コースを設定。イベントタイトルの「5GO!」には、時速4キロで5時間、つまり20キロを歩く、歩き通すというメッセージが込められている。20キロにはどんな意味があるのだろうか。若吉教授は次のように話す。 「巨大地震などの発生時、外出先で帰宅困難に陥った場合でも、20キロ歩けば自宅へ到達できるか、あるいは自宅へ帰るための交通機関などを利用できる可能性が高まる。20キロ歩くことが被災直後の危機から脱出するひとつの目安になります」 20キロ歩くと、大阪市中心部から郊外へ避難できるわけだ。自宅が被災し、電気、ガス、水道などが止まった場合でも、20キロ歩いて離れたまちへ移動できれば、生きたライフラインに助けられてひと息付けるチャンスが広がる。
力を出し切らず話せる程度のマイペースで
それにしても20キロ、一般市民にはけっこうな距離だ。10キロぐらいならともかく、最近20キロを歩き通した人は、交通網が充実した都市部ではあまりいないはず。はたして歩けるだろうか。 「大丈夫、20キロは周りの人たちと会話を交わしながら歩ける距離です。あわてない、力を出し切らない。ゆったりゆっくり体を1歩ずつ前へ進めるつもりで歩いてください」(若吉教授) 疲れたら休めばいいが、長く休んでしまうと、再び歩き出すのがつらくなりがち。歩けば自然と脚が前へ出てくる。無理なく歩ける時速4キロの平均ペースで、歩き続けることを意識すればいいようだ。 「皆さんが心配されるのは、20キロ歩いた経験がないから。一度でも20キロを歩き通した手ごたえををつかむと、いざというときの自信につながります。防災ウォークをいい機会にしてもらえれば」(若吉教授) どこにどんな施設があるのか。普段から何気なく歩いているまちを、防災という視点から見直すことにもなる。歩きやすい服装やウォーキングシューズなどを、防災グッズとともに日ごろから準備しておきたい。