舛添前都知事やり残し 力入れていた自転車推進 “専用道”整備どうなる?
自転車が起こす事故多発 道路事情に合わせて時間かかる整備
ここ10年間で、都は積極的に自転車道を整備しました。最近では、都心部などでも路面が青色に塗られた自転車レーンを目にするようになりました。これら自転車専用レーンの設置が進められた背景には、どんな理由があったのでしょうか? 「従来、自転車は車道を走るように法律でも定められています。ところが、高度経済成長期は違いました。自転車が車道を走るのは危ないといった理由から、自転車は歩道に追いやられたのです。そのため、自転車は歩道を走るという概念が定着してしまいました。それが、現在まで続いています。しかし、2006(平成18)年頃から、歩行者と自転車の事故が目立つようになりました。事故防止の観点から、対策を講じることになり、自転車道を整備することになったのです。」(同) 自転車道と一口に言っても、車道・自転車道・歩道が完全に分離された道路、車道の歩道側を青色に塗った専用レーン設置した自転車道、歩道部分を植木などで自転車道と区切っている構造的分離した自転車道など、さまざまな種類があります。自転車道の整備は、画一的にはできません。道路管理者や所轄の警察と協議し、現地の道路構造や交通量などに応じて整備を進めます。また、コンビニなどの商品配送トラックや路線バスが走る大通りでは、バス停にも配慮しなければなりません。そうした様々な事情を考慮しているので、どうしても時間がかかってしまうのです。
自転車需要は拡大 千代田区など4区は自転車の共通貸出・返却事業も
昨今、東京では各自治体がコミュニティサイクル事業を開始しています。特に千代田区・中央区・港区・江東区の4区は、2016(平成28)年2月から4区で共通で貸出・返却が可能な広域実験を始めています。このように行政が自転車利用の旗振り役となったことや、自転車通勤者が増えたことなど、自転車の需要は拡大しています。しかし、自転車がたくさん走るようになれば、歩行者との事故も増えます。歩行者の安全を確保するためにも、自転車道の整備は急務なのです。 舛添都政で未完に終わった自転車政策。次の都知事が、どんな方針を打ち出すのか注目です。 小川裕夫=フリーランスライター