箱根駅伝Stories/2年ぶりに臨む東京国際大の主将・楠木悠人 初舞台で5区希望「人生が大きく変わると思う」
「自分がやるんだ」と主将に立候補
そこで楠木は主将に立候補する。「やっぱり予選会でチームが負けたことが悔しかったんです。冷静に振り返って、誰かがチームを変えていかないと強くなれないよな、と改めて思ったとき、『自分がやるんだ』と決意して立候補しました」と明かす。 主将となって、まず取り組んだのは「やるべきことをやる」集団作りだった。「昨年のチームは、どちらかというと強くて力のある選手はしっかり頑張っていたけど、そうじゃない選手も多かったです。物理的な練習環境は申し分ないのに、練習を頑張りきれない選手もいました」としつつ、「だからこそ、まずはきちんとやるべきことをやる、練習に対して向き合ってきちんと取り組む、という雰囲気を作りたかったんです」と話す。 楠木が主将としてこの1年、チーム作りをしていくうえで大事にしてきたことがある。 「いろんな物事に対して、自分で考えて、自分で気づかないと、本当の意味で変わることはできないと思っています。怒ったり注意したり、答えを言ったりすることは簡単ですけど、それをやると自分で気づくことができなくなってしまう。だから、ヒントを与えるような声かけをするように心がけてきました」 最初はうまくいかないことに悩んだ時もあったが、少しずつチームがまとまっていくのを感じた。春先は4年生の足並みがそろわなかったが、そんな時は3年生がチームを走りで引っ張ってくれた。みんなが同じ目標に向かって、少しずつに一つになっていく。そんな手応えがあった。 「今年のチームのスローガンは『下剋上』。予選会を突破するだけではなく、本戦でもしっかりと他校と戦って勝つところまで視野に入れて掲げたスローガンです。予選会を突破できたことで、下剋上の舞台は整ったと思っています」 楠木本人は、本戦では5区を希望。上りが得意なことに加え、往路のフィニッシュテープを切りたいからだ。高校3年生のとき、主将として県高校駅伝でフィニッシュテープを切ったのと同じように。 「箱根って、1回走っただけでも人生が大きく変わると思うんです。見るだけじゃなくて走ってみたいし、注目されたいなって。それに、出るならフィニッシュテープを切りたいです。2年生の時は5区の控えでもありましたし、フィニッシュテープを切れるのは5区か10区の選手だけ。だったら、僕は5区を走りたいと思っています」 競技者として走るのは、箱根が最後。陸上を始めてからずっと恋い焦がれた大舞台で、楠木は夢をかなえる。 くすのき・ゆうと/2002年4月6日生まれ。宮崎県宮崎市出身。宮崎・生目台中→宮崎・小林高。5000m14分19秒26、10000m29分03秒72、ハーフ1時間4分17秒
田坂友暁/月刊陸上競技
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