ABインベブのロシア合弁事業、プーチン大統領が一方的に所有権移転
(ブルームバーグ): 世界最大のビール会社アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブとトルコ企業によるロシア合弁事業の支配権を同国企業に移管すると、プーチン大統領が一方的に発表した。これによりABインベブのロシア撤退計画は不透明となった。
30日に公表された大統領令によると、ABインベブとトルコのビール会社アナドル・エフェスのロシア合弁会社の全株式は、ロシアの企業グループ「ブメステ」の一時的な管理下に置かれる。ブメステについて、詳細は記されていない。
ABインベブとアナドル・エフェスは10月、両社のロシア事業とウクライナ事業の保有株を交換することに合意。この合意の下、ロシア事業はエフェスが単独保有し、ABインベブはウクライナ事業を取得するはずだった。もともとABインベブは両国の事業をエフェスに売却したい考えだったが、ロシア当局の反対で計画変更を余儀なくされていた。
プーチン氏の介入により、ABインベブがロシアから最終的に撤退できるのかは不透明となった。他の西側企業は同様の障害に遭いつつ、撤退を済ませている。ABインベブはロシア大統領府を含む当局の承認を得ることを条件に、ウクライナ事業を取得する予定だったが、それも今や不確かだ。
30日の株式市場で、ABインベブは1.5%下落。エフェスは10%安で引けた。
ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、西側企業は最小限の損失でのロシア撤退か、事業継続方法の模索を迫られた。
だが、企業にとって撤退はますます難しくなり、現時点で撤退する企業は売却価値に60%のディスカウントを受け入れなければならない。ロシアはまた、カールスバーグやダノンなど撤退しようとした西側企業のロシア子会社を一方的に国有化。両社は最終的に子会社の所有権を取り戻し、ロシア当局が認めた買い手に事業を売却した。
原題:Putin Hands Local Company Control of AB InBev’s Russian Unit (3)(抜粋)