池松壮亮 × 三吉彩花 インタビュー 仮想現実に理想の母親の夢をも見る『本心』 すぐそこにある未来の俳優たち
――池松さんは本作の宣伝クリエイティブにおいても多くのアイデアを出されていたと伺っていますが、改めて想いを伺えますでしょうか。 池松:自分の思い通りにというつもりはありませんし大抵そうはなりません。宣伝に関してそこまで意見しているつもりはありませんが、システマチックなものや大きな声を持つ者の総意で決定するものの中にも誰かがしっかり考えて話し合って出さなければならないことは絶対にあります。そのことは観客に必ず伝わるものだと思います。誰かがやってくれる、自分には関係がないではなく、映画を作ることも伝えることも同じくらい大切なことなので、思ったことはちゃんとお伝えするようにしています。 これは宣伝に限らずですが、「伝える」ということがあまりにも雑に扱われていると感じています。映画を作ることと映画を伝えるという行為は本来同義であるはずです。目の前の人にも大衆にもですが、伝えるということの中に映画や現代社会が失ってきたことはあるような気がしています。 三吉:今回、池松さんと初めてご一緒してお芝居以外の部分でも一つひとつ丁寧に、大切にコミュニケーションを図って構築されていく姿を目にしてきました。それは石井監督もそうですし、様々なキャストが丁寧に向き合った部分が反映されている作品だと感じます。そうしたクリエイティブへの向き合い方を、本編を通して少しでも感じ取っていただけたら嬉しいです。
文 / SYO