日本最大のろうそく会社社長から学ぶ、ビジネスの「次の一手」を見つける方法
日本のろうそくのシェア50%を占めるカメヤマローソク最大の旗艦店をデザインした森田恭通氏。都会に位置せずとも、人を呼べる施設にしたい。経営者から教えられたビジネスの新発想とは。
社屋をエンタテインメント施設に
日本でろうそくといえば、カメヤマローソク。国内シェアの50%を占めていると言われ、誰もが手に取っているのではないでしょうか。3年後に創業100周年を迎えるこの会社は、三重県亀山市に広大な敷地を持ち、2024年5月にカメヤマローソクタウンの名で一大エンタテインメント施設として新たにオープンしました。 その中でろうそくなどを物販する旗艦店「カメヤマローソクタウンストア」のデザインを、会長の谷川花子さんが依頼してくださいました。 亀山市は東京や大阪から気軽に行ける場所ではありません。だからこそ谷川会長は「ここにしかないもの、わざわざ行ってみたくなるような世界観をつくってください」と要望いただきました。 改めて勉強させていただいたところ、カメヤマローソクには驚くほどの商品カテゴリーとバリエーションがありました。ろうそくといっても神仏用などで使うものだけでなく、バースデーやお祝いの席で使うキャンドル、さらには災害用の常備品にいたるまで。私たちの身近にはさまざまなろうそくがあるんだなと改めて知る機会を得ました。さらにストアには一般的なろうそくのほかに水に浮かべることのできるフローティングローソクやLEDローソクなどもあります。この豊富で多彩なバリエーションを活かして、いっそ宝探しをしながら買い物できる、ミュージアムのような場所にしようと考えました。 もともとここは円形の建物。中を9つのエリアに分け、手前から奥に向かってだんだんと上っていく、ろうそくが映えるオフホワイトの空間をデザインしました。照明器具は77本の巨大なろうそく型ライト。浮遊感漂うような空間に、多彩な商品を並べることで、ろうそくの世界観に没入できる、体感型の空間へと昇華させました。