「ティッシュ配りの要領で自撮り画像を配り続け」倉持由香が足掛け13年で攻略した高い目標「コンプレックスは、他人と違うから武器になる」
当時のグラビア界はいわゆる「童顔巨乳」が大人気だったんです。篠崎愛さんが頂点に君臨する山があって、そこを目指して大勢のグラドルが山道を登っていました。私は長年、樹海をさまよって、ようやく5合目くらいまで来たけれど、繁忙期の富士山みたいにその先の道はずっと埋まっているんです。そこへ、大手事務所のアイドルの方なんかは、ヘリでスーッと頂上に降り立っていくので、「こりゃだめだ…」という感じでしたね。 それで「よし、私は尻でいこう!」と。グラビアアイドルの「王道の山」の頂上に行けないなら、その近くに小さな「尻の山」を作ろう。「尻の山」は「胸の山」に比べたら小さいかもしれないけれど、頂点に立ったらメディアが気づいてくれるかもしれない。そのことに気づいてからは、お尻の自画撮り画像をSNSに毎日、多いときは5分に1回上げ続けました。「単純接触効果」といって、接触の機会が増えると好感度が増すという理論があるので、「みなさんのタイムラインを尻で埋め尽くそう!」と(笑)。そうしたら、3000人だったフォロワー数が1か月で1万人を超えて、その年の終わりには3万人になったんです。
── すごい!狙いどおりですね。 倉持さん:「これはグラドルが知名度を上げるのに効果がある」と思ったので、ほかのグラドルさんたちもセクシーな自画撮りを載せるときに使えるように「#グラドル自画撮り部」というハッシュタグを作りました。本人にとっては知名度を上げられるし、ファンの方は新たな推し探しができるし、メディアの方は新たなグラドルを見つけやすくて、win-win-winじゃないかと思って始めたんですよね。
当時のマネージャーさんからは「商品である写真を自画撮りで切り売りしたら、価値がなくなるからやめてくれ」と言われたんですけど、当時はAKBさんをはじめとするグループアイドルの全盛期で、グラビアアイドルにとっては氷河期。「パイが小さい状況でもったいぶっても、パイがより縮小するだけ。ここはティッシュ配りの要領で尻を配ったほうが、より多くの人に知ってもらえるし、グラビアに興味のない方にも興味を持ってもらえるかもしれないじゃないですか!」とプレゼンして、みなさんに尻を届ける「尻職人」として、自画撮りをアップし続けました。