進化する「富士総合火力演習」の主要装備品を間近で見たら…
■富士総合火力演習とは
陸上自衛隊による国内最大の実弾射撃演習、富士総合火力演習。富士山のすそ野に広がる東富士演習場で、今年は先月26日に実施され、全国から3000人の隊員が参加。戦車や装甲車は合わせて53台、火砲38門、航空機10機が集まった。この日1日に使用された弾薬は、2019年以降最大のおよそ68.4トンで、およそ8.4億円相当にもなる。育成機関で学ぶ隊員に実際の火力戦闘を実感させることを目的に1961年に始まったこの演習。コロナ禍前の2019年までは一般公開され、2万人以上の観客を集めていたが、今では、本来の目的である「隊員教育に注力する」として、一般公開は中止となっている。 演習は2部構成で、前半は火器の性能や効果を展示するパート、後半は、島しょ部への敵の侵攻を想定し、戦車や火砲で攻撃して防衛する実戦的な作戦が展開された。
報道エリアの前方上空にホバリングしたヘリから、ロープを伝って地上に降り立つ隊員たち。100メートルほど先の戦車や装輪車から砲撃がなされると、ずーんと地響きのような振動と熱気が伝わってきて、思わず後ずさってしまった。
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まず、案内されたのは、多用途ヘリUH-2。災害派遣などでも活躍するヘリで、2022年に初号機が納入されている。演習中、着陸することなく上空から地上へ部隊を輸送する訓練で活躍していたヘリのひとつだ。 プロペラの数は4枚。先行機、UH-1Jの2枚から増えた。そのことにより、操縦桿を操作したときに「速やかに機体が動く。機動性が増した」という。また、エンジンの数も2つに。1つ止まっても飛行が可能なことから、「経路設定の自由度が増した。なにより、搭乗員のメンタル面への効果も大きい」と隊員は話す。 一方で安全面に関しては、緊急着水の際に使用するフロートの設置や、機体の内部に設置されているフライトレコーダーを、外壁につけることで水上での事故時に発見しやすくすることなど、今後の検討の余地はあるという。